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TS系アダルト向け短編ノベル「少年少女×ポリノシス」2

 ハンバーガーのセットメニューを食べ、腹を満たした由宇とトオルは、ファーストフード店を後にして、繁華街の奥にある裏道に向かった。トオルの案内で、数軒のラブホテルが並ぶ通りに、由宇は初めて足を踏み入れる。
(出来れば、初めては男の身体で、女相手に来たかったな……ラブホテル)
 トオルに手順を教わりながら、由宇はチェックインの手続きをする。人を相手にせず、部屋のキーを借りられる機械を操作しながら、自動販売機みたいだなと、由宇は思う。
 シンプルな部屋を選び、休憩代の二千五百円を支払い、部屋のキーを手にした由宇は、トオルと共に部屋に向かう。緊張しつつ、部屋のドアを開ける。
 暖かみのある色合いに設えられている、清潔な部屋には、ソファーやベッド、テレビなどがある。由宇は初めて入るラブホテルの室内を、興味深げに色々と見回してみる。
「ラブホとか入るの、初めてみたいだね」
 部屋に入ってからの様子を見て、ラブホテルに初めて入るらしい事を察したトオルは、由宇に問いかける。
「ひょっとしたら、セックス自体も初めてとか?」
 問われた由宇は、気まずそうに、頷いてみせる。見栄を張って経験があると、嘘の返答をしようとも思ったが、ラブホテルに入るのが初めてである事を見抜かれた様に、そんな嘘は見抜かれるだけだと思ったからだ。
「そうなんだ、それは……運が悪いね。初めてのセックスが、女の身体で……男相手だなんて」
「……まぁ、トラウマとかにならないと良いんですけど」
 苦笑する由宇に、トオルは歩み寄り、後ろから抱き付く。
「トラウマになるような酷い目に遭ったとか、ユーキ君が思わずに済む様なセックス……してあげるよ」
「え?」
 いきなり抱き付かれて、由宇は驚く。
「TSP友の会を紹介した医者に、説明は受けていると思うけど、ボランティアと患者の両方が、オーガズムを得る程度に気持ちが良くなれる……満足出来るセックスをしないと、患者は男に戻れないんだから……トラウマになるようなセックスしちゃ、駄目なのさ」
 トオルは由宇の身体を裏返し、自分と向かい合わせにする。
「だから、今だけは自分が女になったつもりで、恋人の男とのセックスを楽しんでいる……そんな気分でいた方が、ユーキ君にとっては、治療効果が高いんだよ」
 待ち合わせの時間と場所を決めた後、女医からTS型花粉症治療の為に行うセックスについての注意事項を聞いた際、トオルの言う通りの説明を、由宇は受けていた。ボランティアと患者の両者がオーガズムを得る程度にセックスを楽しまなければ、患者は男には戻れない事や、自分が恋人の男を相手にしている、女になったつもりでセックスした方が、男相手のセックスを楽しみ易いといった事などを。
「まぁ、僕は慣れているし……ユーキ君は安心して、僕に任せておけばいいから」
 そう言うと、トオルは由宇に顔を寄せ、そのまま唇を奪う。
「ん!」
 驚きの余り、由宇は思わず軽く呻く。そして、即座にトオルを突き飛ばして、唇を離す。
kafun03
「す、すいません!」
 張り手でもかますかの様に、強くトオルの胸を突き飛ばしてしまったので、悪いかなと思った由宇は、一応謝罪の言葉を口にする。
「あ……でも、その……キスはしなくていいんじゃないですか? セックスすればいいんだし……」
「キスもしないで、セックスする恋人同士なんて、いないよね?」
 突かれた胸の辺りを摩りながら、トオルは続ける。
「だから、まぁ……嫌だとは思うけど、我慢してね」
 再び、トオルは由宇を抱き締める。そして、ゆっくりと由宇に顔を寄せ、唇を重ねる。
(が……我慢……我慢しないと!)
 こみ上げる嫌悪感を堪えつつ、由宇はトオルのキスを受け入れる。キスは初めてでは無いが、同性とのキスは初めてなので、身体を緊張で強張らせながら。
 男相手のキスに慣らすかの様な、軽く唇を重ねるだけのキスを、トオルは由宇相手に、数度繰り返す。そして、
(この匂いは……)
 仄かに、バニラの匂いがする。ファーストフードでの食事の後、飲んだバニラシェイクの匂いが、口の中に残っているのだろうと、由宇は思う。
 二分にも満たない時間、軽めのキスを続けてから、トオルは由宇から唇を離す。そして、トオルは由宇の手を引き、歩き出す。
「え? あの……どこに?」
 慌てて戸惑い、由宇は問いかける。
「結構、汗かいてるし……シャワー浴びようか」
 トオルがバスルームに向かおうとしているのだと、由宇は気付く。
「シャワー浴びるって……一緒にですか?」
 由宇の問いに、トオルは頷く。
「恋人と一緒にホテルに来たのなら、それくらい当たり前だよね」
「……今は、そういう設定というか……ノリでした方が、治療の為には良いって事ですか?」
「そういう事。まず……キスから始めるのと同じさ」
 トオルは立ち止まり、説明を続ける。
「下手に自分が男だって事を意識して、嫌々セックスすると、お互いに気持ち良くなれなくて、セックスしたのに男に戻れなかったりする場合もあるから……」
「今は……自分が本当に女で、恋人のトオルさんと、ホテルに来てるつもりになった方が良い訳か」
「そうだね、だから……一緒にシャワーで汗、流そうよ」
 誘いの言葉に、今度は頷いたので、トオルは再び由宇の手を引き、バスルームに向かって歩き出す。
(男に戻る為には、この場はトオルさんの言う事には、素直に従っておいた方がいいよな)
 この場は、TS型花粉症の症状を抑える治療行為に慣れている、トオルの指示に従った方が良いと、由宇は判断し、素直にトオルに手を引かれたまま、バスルームに向かって歩き出す。

 ドレッシングルームで脱衣した後、由宇はバスルームに足を踏み入れた。ダークな色使いのバスルームでは、既に裸になっているトオルが、シャワーで汗を流している。
 恥ずかしそうに胸や股間を手で隠し、シャワールームに入って来た由宇に、トオルは目をやる。そして、トオルはシャワーのノズルを由宇に向け、お湯を浴びせる。
「うわっ!」
 由宇は驚きの声を上げつつ、両手をかざしてお湯を防ごうとする。すると当然の様に、手が胸と股間から外れ、隠していた部分が晒される。
 すぐにトオルがノズルの向きを変えて、お湯を由宇にかけるのを止めたので、由宇は再び、手で胸や股間を隠そうとする。
「もう見えちゃったんだし、今更……恥ずかしがって隠す事も無いでしょ」
 トオルはシャワーのノズルを自分に向け、汗を流す作業を再開しながら、続ける。
「スタイル良いんだから、隠すの勿体無いよ」
 既に、裸を見られてしまった上、スタイルを褒められたのが、微妙に嬉しかった事も有り、由宇は胸と股間を隠し続けるのを、諦める。
kafun04
(どうせ、すぐに裸を見られるどころじゃない目に遭うんだし……)
 心の中で愚痴りながら、由宇は手を胸と股間から外す。すると、ボーイッシュでスリムな身体の割りには、ボリュームがある乳房が露になる。トオルの目線が自分の胸に注がれているのを察し、由宇は頬を染める。
(男の身体なら、別に男に裸の胸とか見られても、恥ずかしくも何とも無いんだけど……何故か、妙に恥ずかしいな)
 自分が、そんな反応をしてしまう事が、由宇には少し不思議だった。
「僕はもう、汗……流し終わったから」
 そう言いながら、トオルは由宇にシャワーノズルを渡す。
「あ、どうも……」
 由宇はシャワーノズルを受け取ると、身体にお湯を浴びせ、身体を洗い始める。夏服同然の格好だった為、そんなに汗をかいていた訳では無いので、軽く洗い流す程度で、由宇はシャワーを終える。
 使い終えたシャワーノズルを、フックに引っ掛けた直後、由宇は突如、背後から抱きすくめられる。
「え?」
 驚きの声を上げる由宇の胸に、トオルの両手が伸びてくる。背後から回された掌が、乳房を掬い上げる様に掴み、揉む。
「あの……ちょっと! いきなり、何を?」
「何をって……そりゃ勿論、キスの後は……前戯に決まってるでしょ」
 当然だと言わんばかりの口調で、トオルは由宇の耳元で囁く。
「いきなりベッドで全部するより、ここで少し……楽しんでからの方が、いいと思うよ」
 主導権を握っているトオルに、そう言われたら、由宇は言う通りにするしか無い。何せ、由宇にとっては初めての経験であり、どうしたらいいのか良く分からず、慣れているトオルに任せるしか無い状況なのだから。
(……仕方が無い、我慢しよう……気持ち悪いけど)
 本音を言えば、男に抱きすくめられ、胸を愛撫されれば、男である由宇が、気持ち悪くない訳が無い。だが、気持ち悪がって避けてしまえば、男に戻れないのだ。
(今は、自分が本当に女なんだと思い込んで、恋人の男に胸揉まれてるって思い込むしか無いんだ……よな)
 そう自分に言い聞かせ、由宇はトオルの為すがままになる。嫌悪感を堪えつつ、乳房を愛撫される慣れない感覚に、困惑する。
kafun05
 強弱を付け、指先で乳首を弄り回したりと、アクセントを付けながらの胸への愛撫は、由宇にとって意外な事に、割と心地良い行為だった。硬くなり、膨らむ乳首の状態から、心地良さを感じている現実を、由宇は自覚せざるを得ない。
(……悪くは、無いね)
 素直な感想を呟けるのは、心の中だけ。男に胸を愛撫され、心地良さを感じている事など、幾ら女の気分でいた方がいい状況であっても、簡単に口に出せはしないのだ。
「乳首……硬くなって来たね。こんなに早く反応するなんて、胸が感じ易いのかな?」
 その口に出せない事実を、トオルが口にしてしまい、由宇は恥ずかしさに頬を染める。無論、問いに返答など出来ない。
「恥ずかしがる事なんて無いよ。むしろ、感じ易い場所は……ちゃんと教えてくれた方が、目的を達成し易いんだから、素直に言ってくれた方が、ユーキ君の為でもあるんだし」
 そう言いながら、トオルは由宇の乳房を、揉みしだき続ける。
「どう? おっぱい……感じ易い?」
(……素直に、言った方が……いいのか)
 再びトオルに問われた由宇は、今は素直になった方が自分の為だと考え直す。恥ずかしさを堪え、素直な答えを……消え入りそうな声で、返す。
「……感じ易い……みたいです」
「そうなんだ、心に留めておくよ」
 胸の感度を確かめ終えたトオルは、右手を乳房から離し、下に移動させる。滑らかな肌を撫でながら、右手の先端を、由宇の股間に移動させる。
「え?」
 おもむろに、トオルの右手に薄い陰毛に覆われた股間を撫でられ、由宇は驚きの声を上げる。 
「ちょ……そこは!」
 抗議の意を込めた由宇の声に怯みもせず、トオルは探り当てた陰唇を指先で割り、陰唇の状態を確かめる。既に、仄かに濡れ始めているのを確かめた上で、陰唇の上の方にあるクリトリスに、指先を移動させる。
 半ば露出していた敏感な部分を、皮を剥いて完全に露出させる。そして、トオルは中指の先端で、その敏感な部分を押さえると、指先を振動させ、刺激する。
「あ……」
 切なげな声が、由宇の唇から漏れる。明らかに、心地良さ気な声が。快楽のスイッチでも押されたかの様に、股間から全身に、電流の如き快楽の波が、駆け巡ったせいである。
 胸を愛撫された際の快楽が、身体が解され……温まる様な心地良さなら、クリトリスを愛撫された際の快楽は、より強く直接的な、熱風を全身に浴び、身体が熱くなるかの様な感じ。
(これは……アレだよねぇ)
 由宇が心の中で呟いたアレとは、無論……性的な快楽。自分が女と化した身体で、男に愛撫されて快楽を得始めているのを、嫌でも自覚せざるを得ない程度に、明確な快感。
 トオルは左掌で胸への愛撫を続けながら、同時に右手の指先で、クリトリスを弄ったり、陰唇の内側に指を這わせたりする。指先がクリトリス以外を攻めている時でも、掌の一部でクリトリスが擦れる様にしたりと、トオルの愛撫には隙が無い。
 感じ易い胸と、感じて当然といえる股間の部分に、トオルは手馴れた愛撫を数分続ける。すると、指先を粘り気のある液体が、濡らし始める。股間への愛撫を始めた頃は、仄かに濡れ始めたという段階だったのだが、今は明確に濡れているという感じ。
kafun06
「もう、こんなに濡れてる……ユーキ君って、感じ易いみたいだね」
「そんな事……無い……」
 否定の言葉を口にする由宇の目の前に、トオルは股間を弄っていた指先を移動させる。粘液に濡れ、仄かに酸っぱい匂いがする指先を、トオルに見せ付ける。
 感じている証拠を突きつけられてしまえば、どんな否定の言葉を口にしても意味は無い。由宇は男に愛撫されて、あっさりと感じてしまっている自分が、恥ずかしくて堪らなくなる。
「……感じ易いのは、悪い事じゃないから、そんな……恥ずかしがる事無いって。それだけ、治療が成功し易いって事なんだし」
 そう言いながら、トオルは右手の指先を股間に戻し、膣口の状態を確かめる。そして、指先で膣口への侵入を試みる。本格的にというより、指の第一関節を、軽く沈める程度に。
「ん!」
 初めての膣内への異物感に、由宇は身を強張らせる。指先で、身体の内側を撫でられる、これまで経験の無い感覚に、戸惑ったせいである。
「……これくらい濡れて、解れていれば……まぁ、十分かな」
 無論、トオルが言う十分というのが、セックスをするのに十分程度の事は、由宇にも分かる。
「じゃあ、次は……僕の方を十分にして貰わないとね」
 トオルは愛撫を中断し、由宇の耳元で囁く。
「それって……どういう事?」
 問いかける由宇の右手首を掴むと、トオルは自分の股間に誘う。自分のペニスに、触れさせる為に。
「え? いや……あの……これって?」
 位置関係と感触から、それがトオルのペニスだという事は、由宇にも分かる。
「……まだ、そんなに硬くなってないでしょ?」
 トオルの問いに、由宇は頷く。手に触れたペニスの感触は、半勃ちといった感じの状態。勃ってはいるが、硬さとサイズが、まだ足りない事は、同じ男である由宇には分かる。
「ユーキ君の身体は処女同然な訳で……かなりキツい筈。ちゃんと勃起して……完全に硬くなった状態でないと、セックスするのは難しいと思うんだ」
 由宇の手を、股間に押さえつけながら、トオルは続ける。
「だから、まだ十分には勃ってない僕のを、ユーキ君に……十分に勃たせて欲しいんだよね。そうしないと、セックス出来なくて……ユーキ君が男に戻れなくて、困るでしょ?」
 由宇は言葉に詰まる。トオルが股間への奉仕を求めている程度の事は、由宇にも分かる。だが、男のペニスに触れるだけでも気持ち悪いのに、勃たせる為の奉仕的行為など、由宇は考えるだけでも吐き気がしそうな程だった。
 だが、男に戻れない事を持ち出されると、由宇は拒否の言葉を口にし辛い。故に、遠回しな言い方で、何とか奉仕行為を避けようと試みる。
「……でも、どうやってやればいいのか、分からないし」
 方法が分からないのを理由に、由宇は奉仕行為を避けようとしたのだ。だが、それは無駄だった。
「高校生でも、ネットのエッチなサイトとかで、女が男のモノに、口や胸でする奴……見た事あるでしょ? ああいう風にすればいいだけだよ」
 トオルは室内に設えてあるテレビを指差し、続ける。
「見た事が無いなら、あのテレビでアダルトビデオが見れるんで、それ見て……やり方を覚えてから、すればいいだけの話だし」
 やり方を確認出来るテレビが、ラブホテルの室内にある以上、やり方が分からないという言い訳は、時間稼ぎにしかならない。その事を由宇は理解した。そして、どうせする羽目になるなら、時間稼ぎなどしても、無駄だと心の中で結論付ける。
「見た事有るから……真似して、やってみます」
 由宇はトオルの方を向き、その場で腰を落とし、座り込む。自分の物より大きく見える、トオルのペニスを睨みながら、由宇は悩む。
(どうしよう、口でするか……胸でするか?)
 どちらも嫌なのだが、トオルのペニスを完全に勃起させなければ、すぐに男に戻れずに、自分自身が困るのだと、由宇は自分に言い聞かせる。そして、選びたく無い選択肢の中から、比較的マシだと思える方を、選ぶ。
(これを、いきなり口でするのは、流石に無理だ……)
 心の中で、由宇は呟く。つまり、フェラチオでは無く、まず胸による愛撫……いわゆるパイズリをする事を、由宇は選んだのだ。
「じゃあ、まず……胸で」
 由宇の言葉を聞いたトオルは、その場で膝立ちになる。立ったままだと、ペニスの位置が高過ぎる為だ。トオルが膝立ちになると、座り込んだ由宇にとって、丁度パイズリがし易い高さに、ペニスが来るのである。
(えーっと、確か……胸で挟み込む感じだったよな)
 ネットのエロサイトその他、本来は年齢的に見てはいけない筈の、エッチなメディアで目にしたパイズリの光景を、由宇は思い出す。そして、トオルへのパイズリを、由宇は始める。

 
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TS系アダルト向け短編ノベル「少年少女×ポリノシス」1

「花粉症ですね」
 事も無げに、女医は言った。
「いや、あの……花粉症って、鼻炎とかなる奴でしょ?」
 捌由宇(さばきゆう)は、女医を問い詰める。
「俺が病院に来たのは、今朝……起きたら、身体が女になってたからで、別に鼻炎になったからとかじゃ、ないんですって!」
 身体が女になってたと表現した通り、由宇の見た目は、デニム生地のショートパンツに水色のトップという出で立ちの、どう見てもボーイッシュな少女であった。由宇は本来、少年なのだが。
 もうすぐ高校二年生になる春休みの朝、目覚めたら何故か、身体が女性化していた為、由宇は慌てて、かかりつけの病院に駆けつけたのだ。普段着ている服が、肉体の女性化により、身体に合わない為、女物である姉の服を借りて。
「……だから、その身体が女になるというのが、花粉症の症状なのよ。TS型花粉症という、花粉症の中でも珍しいタイプの症状なので、知らない人が多いけど」
「か、花粉症の症状なの? これが?」
 見事に膨らんだ自分の胸に、目線を落しつつ、由宇は女医に問う。
「そう。花粉症っていうのは、花粉をアレルゲン……アレルギーの原因とした、アレルギー反応の事で、普通は鼻炎や結膜炎、皮膚炎とかを発症するものなんだけど……」
 女医は教師が生徒に教えるかの様な口調で、解説を続ける。
「かなり珍しい症例として、免疫反応の暴走により、性転換を引起すタイプが存在するの。それが由宇君が発症した、TS型花粉症……TSは、性転換を意味する英語の略ね」
kafun01
「冗談……じゃないですよね?」
 家族ぐるみで世話になっている、かかりつけの医者なので、女医が冗談を言うタイプで無い事を、由宇は知っているが、一応確認してみる。
「勿論、冗談は苦手だから、私」
 女医は興味深げな目で、女の身体に変わっている由宇を見る。
「それにしても、随分と可愛い女の子に変わったものね。元々、お母さんに似ている顔立ちだったからかな」
「……親父も、母さんの若い頃にそっくりだって言ってました。さっきケータイで写真送ったら」
 両親は仕事で海外に赴任中なので、由宇は一緒に住んでいない。今朝、自分の身体が女性化しているのに驚き、どうするか両親に相談するつもりで電話し、証拠として写真を送ったら、父親に若い頃の母親そっくりだと言われたのだ。
 その上で、とりあえずかかりつけの病院に行って、調べて貰えとのアドバイスを受けたので、由宇は今、この病院にいるのである。本当なら所属するサッカー部の練習に、参加しなければならないのだが、それを休んでまで。
「それで、このTS型花粉症って、どうすれば治るんですか?」
「それが……今の所、根治療法……つまり、TS型花粉症自体を治療する方法は無いのよ」
「え? じゃあ、俺……このままずっと男に戻れないの?」
 焦りのせいで、そう問いかける由宇の声は上擦る。
「あ、いや……男には戻れるから。普通の花粉症も、アレルゲンとなってる花粉が飛散する時期を過ぎれば、鼻炎とかの症状が治まるでしょ? あれと同じで、由宇君のアレルゲンとなってる花粉の飛散時期が過ぎたら、自然に男に戻るのよ」
 女になったまま、この先の人生を過ごさなければならない訳では無いと知り、由宇は安堵する。
「……えーっと、それなら何時頃、俺は男に戻れるの?」
「そうねぇ、詳しくはアレルゲン特定のテストをしてみないと分からないけど、この時期の花粉症なら、アレルゲンはスギやヒノキの花粉だろうし、五月……六月あたりには、男に戻れると思うよ」
「そんな先なの? もう学校始ってるじゃん! こんな……女の身体で学校とか通えないよ! 絶対からかわれるし、サッカーの県大会も始るし……」
 男に戻れないかもという不安は払拭されたが、今度は暫くの間、女の身体で高校に通う羽目になってしまうかもという不安に、由宇は苛まれる。
「もっと早く男に戻る方法は無いの?」
「そうねぇ……。普通の花粉症も、確実な根治療法は無いけど、花粉症の色々な症状を抑える対症療法があるのと同じで、TS型花粉症も性別が変わるという症状を抑える対症療法が、無い事は無いんだけど……」
「有るんだよね? だったら、それで症状抑えて、男に戻してよ!」
「いや、有るには有るんだけど、今の所……有効な薬とかが開発されている訳じゃないんで、多分……由宇君が女の身体のまま、高校に通った方がマシだと思うような方法しか無いんだよね」
 含みの有る言い方を、女医はする。
「どっちがマシかは、俺が自分で判断するよ。それで……どんな方法なの?」
「……男とセックスして、二人でオーガズムを得るの」
 由宇は自分の耳を疑い、思わず聞き返す。
「えーっと、今……良く聞こえなかったから、もう一度お願い」
「だから、男とセックスして、その男と患者が両方とも、オーガズムを得る……つまり、絶頂を迎えればいいのよ。そしたら、眠ってる間に身体が変化して、翌朝には男に戻ってるから」
(聞き違いじゃ無かったのか……)
 由宇は愕然として、頭を抱える。
「そりゃ確かに、女のまま高校に通った方がマシかも……」
 女医の言う通り、男とセックスしないと、すぐには男に戻れないというのは、女のまま高校に通った方がマシだろうと思ってしまう程度に、由宇にとって避けたい選択肢だ。しかし、今の由宇には、その選択肢を選ばなければならない理由があった。
「県大会が、もう少し先だったら……」
 所属するサッカー部の県大会の事が、由宇の頭に浮かぶ。その県大会のスケジュールが、由宇が早く男に戻らなければならない理由だ。
 由宇は現在、サッカー部でミッドフィルダーのレギュラーポジションを得ている。だが、由宇は今の身体……女の身体のままでサッカーをして、レギュラーポジションを維持出来る自信が、全く無かった。
 何故なら、女の身体になって数時間しか過ぎていないのだが、大きく膨らんだ胸が、明らかに自分の運動能力を殺いでいる事を、由宇は自覚していたからだ。
(動くのに邪魔過ぎるんだよ。この身体じゃ、レギュラー難しいだろ)
 乳房を掴んでサイズと重みを確かめ、由宇は溜息を吐く。
(それに、幾ら病気で一時的に変わっただけといっても、女の身体のままで、公式の試合とか出れるかどうかも、分からないし……)
 つまり、今の身体のままでは、レギュラーとしてサッカーの県大会に、由宇は出れない可能性が高いのだ。それは、サッカーに高校生活を賭けている由宇にとって、絶対に避けたい事態だった。
「女のまま……高校に通う方がマシでしょ?」
 女医の問いに、由宇は首を横に振る。
「サッカーの県大会が近くなければ、そうなんですけど……今は絶対に、早く男に戻りたいんで……」
「そういえば、サッカー一生懸命やってるもんね。その身体だと、試合出れないか……」
 選びたくない選択肢を、仕方が無しに選んだ理由を知り、女医は哀れむ様な目で由宇を見る。
「……で、セックスする相手は、どうするの? 誰か相手に、心当たりとかあったりする?」
 女医の問いに、由宇は再び首を横に振る。
「いませんよ、そんなの。友達とかには、女の身体になったなんて、知られたく無いし……」
 色々と、男の友人知人を思い浮かべてみるが、本当は男の自分を抱いてくれと、頼める相手は、由宇には思い付かない。
「そういう場合、行きずりの相手を探すしか無いのかな? 出会い系とかで……」
「そういうのは、止めた方がいいと思う。幾ら治療の為とはいえ、信頼の置けない、行きずりの相手とかとのセックスは、控えた方がいいわ」
 大人の医者として、女医は安易な方法を模索する由宇を、窘める。
「でも、他に相手を探す方法が、思い付かないし……」
「だったら、TSP友の会で探せばいいんじゃないかしら?」
「TSP友の会? 何です、それ?」
 初めて耳にする言葉の意味を、由宇は女医に問いかける。
「トランスセクシャル・ポリノシス……TS型花粉症の患者を支援する団体。TS型花粉症を発症した患者で、男に戻る為に必要なセックスの相手になってくれるボランティアを、紹介してくれる団体よ」
 女医は説明を続ける。ちなみに、ポリノシスとは英語で花粉症を意味する言葉だ。
「TSP友の会は、メンバーの医者が信頼出来ると確認済みの男性を、ボランティアとして集めているから、早く男性に戻らなければならない患者がいる場合、医者はTSP友の会で、相手を探すように薦める場合が多いんだ」
(そんな団体があるのか。だったら、そこで紹介して貰った方がいいかな)
 なるべく早く男に戻りたい、由宇の決断は速い。
「じゃあ、そのTSP友の会で、相手を紹介して貰う方法、教えて下さい!」
 由宇に頼まれ、女医はTSP友の会に、相手を紹介して貰う方法を説明する。方法自体は、簡単だった。
 医者から紹介を受けた、患者とボランティアだけが接続出来る、ソーシャルネットワークサービスにアカウントを取り、自己紹介のページを作る。その上で、希望する大雑把な時間と場所を指定した上で、ボランティアの募集をして、応じてくれるボランティアを探すだけなのだ。
 無論、プライバシーの観点から、本名では無くハンドルネームを使っているし、掲載する写真も、顔の部分はモザイクをかけている。ただ、女医のアドバイスに従い、身長と体重、年齢などは、正確な情報を登録し、スタイルなどが確認可能な程度の写真も、自己紹介のページに、由宇は投稿した。
 患者側が、有る程度正確な情報を出した方が、ボランティアの方も応募し易い。由宇が急いで相手を探したいなら、匿名性を維持出来る範囲で、出せる情報は出した方が良いと言うのが、女医のアドバイスだった。
 女医のパソコンを借りて、登録を終えた由宇は、確認の為、自分のスマートフォンで、TSP友の会のソーシャルネットワークサービスに接続してみる。問題なく、由宇のスマートフォンでも接続は可能だった。
 登録自体は紹介制の為、医者のパソコンなどからしか登録出来ないのだが、一度登録してしまえば、会員自身のパソコンやスマートフォンから、接続は可能なのだ。
「後は応募して来た相手の中から、自分で良さそうな相手を選んで、待ち合わせの時間と場所を決めて、相手して貰ってくるだけよ」
「……あ! 何か……もう、応募者来たみたい」
 由宇は驚きの声を上げる。女医のアドバイスが効を奏したのか、由宇がユーキというハンドルネームで開設した自己紹介のページに、すぐにボランティアの応募が来たのだ。しかも、十数件も。
「由宇君みたいに、若くてスタイル良い子が写真載せておけば、すぐに相手見付かるとは思ったけど、それにしても早かったね」
「じゃあ、早速……この中から選んでみます」
 応募して来たボランティアの自己紹介ページをチェックした上で、由宇はトオルというハンドルネームの大学生を選んだ。そして、チャット機能を使って、待ち合わせの詳細な場所と時間を、トオルと決めた。
 時間は一時間後の、午後十一時。場所は由宇が住む町に隣接する、嘉職市(かしきし)にある嘉職駅の改札前。
 トオルは嘉職市にある、もう一つの駅……佐田隅田(さだすみだ)駅の近くにある、城王(じょうおう)大学嘉職キャンパスに通っている大学生。つまり、お互いが今いる場所から近く、尚且つラブホテルなどがある繁華街が近い場所を、待ち合わせの場として選んだのだ。
 待ち合わせの時間と場所を決めた由宇は、女医からTS型花粉症治療の為に行うセックスについて、色々と注意事項を聞いた。そして、待ち合わせの場所に向かう為、病院を後にすべく、座っていた椅子から立ち上がる。
「女としてのセックス……初めてだと痛いと思うから、頑張ってね」
 経験者としてのアドバイスを送る、女医の言葉を耳にしながら、由宇は診察室を後にした。

 春なのだが、駅の改札付近を行き交う人々の半分くらいは、夏服である。天気予報が、今日は夏を思わせる程に暑いと、伝えていたせいだろう。
 天気予報は的中し、昼に近付いている午前十一時数分前、気温は明らかに夏日のレベルに達している。ショートパンツにノースリーブという、時期的には薄着過ぎる格好の由宇にとって、程好い気温である。
 気温が高く、夏服の人も多い為、辺りは夏だと勘違いしそうな光景となっている。だが、春を思わせる存在もある……例えば、花粉症対策のマスクをしていたり、明らかに花粉症の鼻炎をこじらせていそうな、駅を行き交う人々の姿などだ。
 以前なら、街中で見かける花粉症の人を見て、可哀想だな……大変だなという感想を、由宇は抱いたものだった。だが、自身が花粉症を……しかも、普通ではない花粉症を患ってしまった今、抱く感想は大きく異なっている。
(羨ましいな、普通の花粉症で……。あれなら女の身体になって、男とセックスしないと、すぐには男に戻れないなんて、アホな目に遭わずに済むんだろうし)
 自分と同年代だろう、花粉症マスクをしている少年が行過ぎる姿を眺めながら、由宇は溜息を吐く。自分がこれから経験するだろう事を想像し、げんなりしつつ。
「……えーっと、ユーキ君だよね?」
 目で追っていた少年が歩き去った先とは、逆側の方から、由宇は声をかけられる。感じの良い、青年の声。
 声の主に、由宇は目をやる。声同様、感じの良い青年の姿が、由宇の視界に入る。
 やや長めの茶髪が印象的な、整った顔立ち。ブラウンのチェックのフリースに、オリーブ色のパンツという出で立ちの青年である。
 ソーシャルネットワークサービスの自己紹介ページに、掲載されていた写真は、顔が隠してあったが、髪型と髪の色は、自己紹介ページの写真と同じ。加えて、今の由宇がユーキと名乗っている事を知っている青年は、一人しかいないのだから、その青年が誰なのかは明らかだ。
「はい、ユーキ……です。トオル……さんですか?」
 緊張しながらの由宇の問いに、青年は頷く。
「トオルです、初めまして」
「あ、初めまして」
kafun02
 由宇は挨拶の言葉を口にしながら、トオルの外見や雰囲気を、それとなく観察する。
(爽やかな好青年って感じだな)
 女の子にモテそうな優男ではあるが、いわゆる遊び人といった風にも見えないと、由宇には思えた。
「暑いね、今日は。今朝の天気予報で、今日は暑くなるとは言ってたんだけど、つい普段通りに長袖を着てしまって……失敗したよ」
 青年……つまりトオルは、苦笑しつつ由宇の服装に目をやる。
「ユーキ君は真夏みたいな格好だけど、涼しげで羨ましいくらいだ」
「いや、まぁ……普段着てる服が、身体に合わないんで、姉さんの服を借りて来たんですけど、天気予報で暑くなるって言ってたから、一応涼しそうな奴を選んで、正解でした」
 初対面の際、とりあえず場を繋ぐ為に交わす会話として有り勝ちな、天候や服装の話を、二人はする。
「……それにしても、写真見た時にも思ったけど、本当にボーイッシュな女の子って感じだよね、ユーキ君」
 由宇の足元から顔まで、品定めするかのように目線を移しながら、トオルは由宇の外見に対する感想を述べる。
「そりゃまぁ、本当は俺……男ですから、ボーイッシュなのは当たり前といえば当たり前でしょ」
「いや、ボーイッシュな事に関して、どうこうって話じゃなくて、本当に女の子に見えるって言いたかったんだ」
 自分の先ほどの発言の真意を、トオルは由宇に説明する。
「僕は、このボランティアを始めてから、今まで二十人くらい、TS型花粉症の患者さんに会ってるんだけど、ユーキ君くらい本物の女の子に見える患者さんは、殆どいないんだ」
「そうなんですか?」
「そう。TS型花粉症になると、身体だけでなく顔立ちも女性化するんだけど、元の顔の影響を受けるんで、やっぱり元の顔が整ってたり、女顔だったりする人の方が、ちゃんと女っぽくなるらしいんだ」
 由宇は割と整った顔立ちで、尚且つ母親似。つまり、トオルの話が事実なら、ちゃんと女っぽくなるタイプの顔立ちなのだ。
「ユーキ君、男の時の顔も、女顔だったりするでしょ?」
「……母親似って言われてるんで、そうですね」
「まぁ、あくまでボランティアとしてやってる事なんだけど、ユーキ君くらいに可愛い子が相手となると、役得だとか思えちゃうのも本音だったりするのさ」
「か、可愛い子?」
 思わず由宇は赤面し、声を上擦らせる。元から女顔だといっても、流石に可愛いなどとは、普段は言われない為、照れてしまったのだ。
「ああ、ごめん。男の子相手には、失礼な言い方だったかな」
 リアクションから、由宇の心情を察し、トオルは話を切り替える。
「それじゃあ、ここで長々と話していても仕方が無いし、そろそろホテルに行こうか? それとも、昼も近いし……食事でもして、ワンクッション置くかい?」
(ほ、ホテル!)
 いきなり、話がホテルの話に移ったので、由宇は少し焦る。そして考える、このままホテルに行くか、ワンクッション置くかを。
「……ホテル代の事を考えると、今日は外食する金銭的余裕が無いので、出来れば……すぐにホテルに行く方が有り難いですけど」
 TSP友の会は、患者数に比べボランティア数が明らかに少ない。故に、花粉症の季節には、一人のボランティアが多数の患者の相手をしなければならない。
 つまり、ボランティアにホテル代を負担させると、結果としてボランティア側の負担が重くなり過ぎてしまうので、ホテル代は患者側が持つのが、TSP友の会の基本ルールなのだ。
「そっか……高校生だし、ホテル代は休憩の額とはいえ、厳しいよね」
 トオルの言葉に、由宇は頷く。
「だったら、昼食は僕がおごるよ。これから体力使う事をするんだから、お互い腹は減っていない方が、いいだろうし」
「え? それは……悪いですよ」
「おごるって言っても、ファーストフードのセットメニューくらいだから、遠慮しなくていいって。ユーキ君が出すホテル代の、数分の一なんだし」
「いや、でも……」
「じゃ、行こうか」
 そう言うと、それで決まりだと言わんばかりに、トオルは歩き出す。まだ遠慮気味の由宇の言葉は、無視して。
 相手は年長者である上、TS型花粉症との関わりも長い。故に、主導権は明らかに、トオルの側にある。
 おごられる事に気が引けたのだが、主導権を握られている現状、トオルの後をついて行く以外、今の由宇には事実上、選択肢は無かった。由宇はトオルの後を追い歩き始める……駅の外にある、ファーストフード店に向かって……。


          ☆          ☆


 TSF系アダルト向けノベル集「TS(性転換)すると、どうしてみんなBitchになっちゃうんだろうね?」、DLsiteで発売予告中!
TSB紹介画像

「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」25 TSF属性・アダルト向けライトノベル

(こういう時、背が高いのは得だよな)
 動き出した満員電車に揺られつつ、威智は心の中で呟く。百八十センチ近い長身の威智は、大抵の乗客達より背が高いので、満員電車の中でも視界が人の壁に覆われたりしない分、圧迫感などを感じずに済むのだ。
(――にしても、男だらけだね、電車の中)
 頭と肩くらいしか見えないのだが、視界に入る乗客が皆、男性である事に、威智は多少の違和感を覚える。男性用の整髪料などが混ざり合った臭いはすれども、女性用の化粧品や整髪料などの臭いは皆無。
 男だらけの視界も、混ざり合った整髪料の臭いも、威智にとって気分の良いものではない。気分を変える為、威智は乗客達の頭越しに、窓に目をやり、外の景色を眺め始める。
 流れる景色を、ぼーっと眺め始めて一分程の時間が過ぎた頃、威智は突如、妙な違和感を下半身に覚える。上品な白い制服のスカートの布地越しに、手で触れられた様な感覚に、威智は思わず身を強張らせる。
(こ、これって……まさか? いや、単に後ろにいる人が、ぶつかっただけかも……)
 突然の、しかも初めての経験に、威智は混乱しつつ、意識を下半身に集中し、状況を正確に掴もうとする。触れているのは掌……偶然に当るなら手の甲だろうから、偶然や過失で触れた可能性は低いと、威智は思う。
(やっぱり、痴漢?)
 どうやら自分が、痴漢に遭っているらしい事に気付いた威智は、うろたえつつ悩む。この事態に、自分がどう対処すべきか。
 男である威智は、自分が痴漢に遭う事など、考えた経験すら無い。その為、こんな場合に適切に対処する方法を、知らないのだ。
 とりあえず、威智は身を捩ってみる。だが、満員の車内では、余り身体の動きは自由にならず、痴漢の手を振り払う事が出来ない。
 身体よりも手の方が、動きの自由度が高いのだ。満員電車の車内では。
(声とか出した方が、いいのかな? いや、でも……下手に騒ぎとかなったら、転校初日だってのに、学校に遅刻しちゃうかもしれないし……)
 そう考えた威智は、とりあえず声を出すのは得策では無いなと考え、他の対処法を考える。尻を見知らぬ誰かに、撫で回されながら。
 対処に迷う威智を、痴漢は抵抗しない……泣き寝入るタイプだと判断したのだろう。撫で回していただけの掌が、尻肉を揉み始める。
(き、気色悪っ!)
 大胆かつ露骨な愛撫を身に受け、威智は気持ち悪さに身を震わせる。反射的に、胸に抱き抱えていた鞄を背後に回し、尻をガードする。
 身体と違って一応は動かせた手は、何とか痴漢の手を退かしつつ、尻をカバーする事に成功したのだ。気持ち悪さに反応した、反射的な動きではあったのだが、尻を痴漢の手からガードするという目的を果たすのには、適した動きであった。
 だが、抱き抱えていた鞄が後ろに回った為、今度は胸に隙が出来てしまう。その隙を、痴漢は見逃さない。
 後ろから威智に抱きつく様に、痴漢は両手を威智の前に回すと、白い詰襟の制服の上着越しに、豊かな胸に触れる。掬い上げる様に、揉み始める。
(――! こ、今度は胸?)
 驚き、焦り……身を強張らせる威智は、胸から伝わる微妙な感覚に戸惑いながらも、見知らぬ男に胸を愛撫される嫌悪感を覚える。騒ぎになろうが、これは流石に声を出さなければ、相手を図に乗らせるだけだと考え、威智は口を開く。
 だが、声は出ない。声が出る直前、口を塞がれてしまったのだ。後ろにいる痴漢の両手は、胸に伸びている。つまり、胸を触っているのとは別の誰かが、声を出そうとした威智の意図を察し、口を塞いだのである。
「ん……ん……」
 声が意味不明の呻き声に化けている威智の前に、威智と殆ど背の高さが変わらない長身の男が、強引に身体を滑り込ませて来る。威智の左隣にいた男だ。
 威智の口を塞いだのは、そのグレーのスーツに身を包んだ、大柄なサラリーマン風の男である。三十前後に見える男は、向かい合わせになる様な形で、威智の前に立ちながら、右手で口を塞いでいる。
 そして、空いている左手を、威智の下半身に伸ばす。白いスカートを捲り上げると、スカート同様の色合いのショーツ越しに、威智の股間を撫で始める。
(こ、こいつも……痴漢だ! 痴漢が二人も……)
 身体が自由にならない満員電車の中で、自分が二人の痴漢に挟まれてしまった事を、威智は悟る。両胸を揉まれ、股間を弄られながら。
(何で男の俺が、こんな……朝っぱらから発情してやがる痴漢なんかに、襲われなきゃならないんだ! しかも、二人も!)
 身体が女性化している現在、事情を知らない他者から見れば女性にしか見え無いとはいえ、威智は内的には完全に男のまま。自分が他の男性から、性的な対象として見られる事自体が、威智にとっては想定外の状況。
(ひょっとしたら、あのモテモテヘアカラーの効果で……って、あれは人間以外にしか効果が無い、インチキ商品だから違うか)
 続けて、威智は混乱する頭で、どうすれば痴漢の被害から逃れられるかについて、考えを巡らす。だが、制服や下着越しとはいえ、敏感な胸や股間を愛撫されながらでは、嫌悪感や恐怖感……そして仄かな快楽のせいで、思考にノイズが混ざりまくり、良い考えが思い付かない。
(せめて、もう少し空いていれば、割り込んで逃げられるのに……)
 威智は心の中で愚痴るが、満員の車内は空くどころか、乗り込む乗客が増え、更に車内の密度は増す。威智は身体を逃がすどころか、身動きすら出来なくなる。後ろに回した鞄と手を、前に戻す事すら難しい程に。
 既に、威智には抵抗する手段が無い。前と後ろから自分を挟む二人の痴漢の、為すがままになっている状態。
 そんな威智の状態を、察したのだろう。痴漢達はより大胆に、威智の身体を責め始める。
 後ろから手を回している痴漢が、制服の前を留めるボタンを外す。威智が殆ど手を動かせない混み方の車内でも、痴漢は器用に手先を動かし、上着だけでなく、下に着ているブラウスのボタンまでも、手品師の様に手際良く外してしまう。
(こいつ……慣れてる)
 痴漢に遭うのが初めての威智であっても、自分が腕すら動かせない程に混みあう満員電車の中で、手先を器用に動かし、自分の制服を脱がされれば、その程度の事は察せられる。上着とブラウスのボタンは外され、スポーツタイプのブラは、乳房の上にたくし上げられる。
 満員電車の中で、威智は張りの有る瑞々しい双乳を露出させられてしまったのだ。人から見られない状態だとはいえ、人に囲まれている電車の中で、乳房を露出してしまっている状況に、威智は赤面する。
(な、何で恥ずかしがってるんだ、俺?)
 男の身体の時は、別に胸を露出する事なんて、恥ずかしくも何ともなかったのだが、女の身体になっている今、胸を露出する事は、威智にとって恥ずかしい事となっていたのだ。そんな自分の心理状態に、威智は少しだけ戸惑う。
 だが、そんな威智の心の中など知る由も無く、痴漢の両手は露出し、前に立っている男の身体に押し付けられている乳房に伸びて来る。
 後ろから伸びている痴漢の指先が、前にいる痴漢の身体と威智の乳房の間に、強引に滑り込む。そして、乳房を掬い上げる様に、痴漢は揉み始める。
「――ん」
 制服越しであった、これまでの愛撫と違い、汗に湿る……熱い掌で、直に乳房を愛撫され、威智は思わず、軽く呻く。嫌悪感も、これまで以上なら、同時に感じる快楽も、仄かである段階を超え、明確な快楽となり、威智の身体を興奮へと誘う。
 乳房を揉む合間に、指先が乳首を捏ねる様に、弄り回す。気持ち悪いのは当然なのだが、それでも乳首が硬くなるのを、威智は察してしまう。
(そんな……キモチ悪いのに、何で?)
 自問する威智の頭に、悧音に胸を愛撫された際の記憶が、甦る。心では嫌がり、気持ち悪さを感じている筈なのに、身体は愛撫に反応し、快楽を覚えてしまった時の記憶が。
(感じ易いのかか、俺の身体。痴漢に無理矢理されても、こんな風になるなんて……)
 節操の無い身体の反応に戸惑う威智を、更なる責め苦が襲う。責め方が大胆になったのは、後ろにいる痴漢だけでは無かったのだ。

          ☆          ☆

同人最新作、TSF系アダルト向け短編ノベル集「TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!」」、DLsiteで発売中!

 ちなみに、サンプル画像(クリックで拡大)。
痴漢シーンサンプル
サンプル3と同じ画像

同人ノベルの読み込みエラーについて(念の為バージョン)

「TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!」で、PCの環境によって、以下のエラーが発生する事が確認されました。


「モジュール’TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい・のアドレス 001B0D8D でアドレス00000130 に対する読み込み違反が起きました。.」

DLsiteの中の人によれば、ファイルネーム(フォルダネーム)が長いので、PCの環境によっては、メモリ上のデータが読み込めず、正常に動作しない事があるそうです。DLsite様の方で、UPされている実行ファイルのファイル名を、【TS.exe】と短く変更していただけました。DLsiteの中の人のよれば、現在ダウンロード出来るようになっているファイルは、おそらく問題なく動作するだろうとの事です。
該当エラーが出て起動出来ない、再ダウンロード可能な方は、再ダウンロードしてお試し下さい。

再ダウンロードが出来ないゲストユーザーの方で、該当エラーが出ている方は、上記のDLsite様同様、実行ファイル名(プロパティのファイルの種類の項目で「アプリケーション (.exe)」と表記されているファイル)を【TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!】から【TS.exe】に変更したり、フォルダ名を以下の様に変更すると、問題が解決され、起動すると思われます。

○現在のパスを構成するフォルダ名

TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!\TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!\ノベル本体(実行ファイルやlive.dllが入っているフォルダ)

○該当エラーが出難いと思われるパスを構成するフォルダ名

tsf\tsf\ノベル本体(実行ファイルやlive.dllが入っているフォルダ)

以上、該当するエラーが出た方はお試し下さい。

※まだ見ていない人がいるかもしれないので、念の為、前回同様にエラーの対処法に関する告知で更新しました。

同人ノベルの読み込みエラーについて

同人ノベルの読み込みエラーについて

「TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!」で、特殊な状況において、以下のエラーが発生する事が確認されました。


「モジュール’TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい・のアドレス 001B0D8D でアドレス00000130 に対する読み込み違反が起きました。.」

対処法ですが、ベタな対策としてセキュリティソフトなどの衝突し易いソフトのオフなどを試した上でも解決しない場合、以下の対策で解決する場合があります。

○パスを短くする

色々と試してみたところ、フォルダの名前が長い置き場(フォルダ)に置くと、短い場所に置いた場合は問題なく動作するファイルが、名前を長くしたフォルダにいれると、該当エラーが出るのが確認されました。
更に、エラーが発生するフォルダにおいても、「TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!」のフォルダ名を「tsf」などと短くすれば、エラーが出ずに起動するのが確認されました。
故に、このエラーは「TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!」という長ったらしいタイトルが、二つ重なるフォルダ構造になっている、この同人ノベルが、長いパスの場に置かれると発生すると考えられます。

現在のパス

TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!\TS(性転換)すると、レイプされるフラグが立ちますので、御注意下さい!\ノベル本体

該当エラーが出難いと思われるパス

tsf\tsf\ノベル本体

以上、該当するエラーが出た方はお試し下さい。
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