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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」25 TSF属性・アダルト向けライトノベル

(こういう時、背が高いのは得だよな)
 動き出した満員電車に揺られつつ、威智は心の中で呟く。百八十センチ近い長身の威智は、大抵の乗客達より背が高いので、満員電車の中でも視界が人の壁に覆われたりしない分、圧迫感などを感じずに済むのだ。
(――にしても、男だらけだね、電車の中)
 頭と肩くらいしか見えないのだが、視界に入る乗客が皆、男性である事に、威智は多少の違和感を覚える。男性用の整髪料などが混ざり合った臭いはすれども、女性用の化粧品や整髪料などの臭いは皆無。
 男だらけの視界も、混ざり合った整髪料の臭いも、威智にとって気分の良いものではない。気分を変える為、威智は乗客達の頭越しに、窓に目をやり、外の景色を眺め始める。
 流れる景色を、ぼーっと眺め始めて一分程の時間が過ぎた頃、威智は突如、妙な違和感を下半身に覚える。上品な白い制服のスカートの布地越しに、手で触れられた様な感覚に、威智は思わず身を強張らせる。
(こ、これって……まさか? いや、単に後ろにいる人が、ぶつかっただけかも……)
 突然の、しかも初めての経験に、威智は混乱しつつ、意識を下半身に集中し、状況を正確に掴もうとする。触れているのは掌……偶然に当るなら手の甲だろうから、偶然や過失で触れた可能性は低いと、威智は思う。
(やっぱり、痴漢?)
 どうやら自分が、痴漢に遭っているらしい事に気付いた威智は、うろたえつつ悩む。この事態に、自分がどう対処すべきか。
 男である威智は、自分が痴漢に遭う事など、考えた経験すら無い。その為、こんな場合に適切に対処する方法を、知らないのだ。
 とりあえず、威智は身を捩ってみる。だが、満員の車内では、余り身体の動きは自由にならず、痴漢の手を振り払う事が出来ない。
 身体よりも手の方が、動きの自由度が高いのだ。満員電車の車内では。
(声とか出した方が、いいのかな? いや、でも……下手に騒ぎとかなったら、転校初日だってのに、学校に遅刻しちゃうかもしれないし……)
 そう考えた威智は、とりあえず声を出すのは得策では無いなと考え、他の対処法を考える。尻を見知らぬ誰かに、撫で回されながら。
 対処に迷う威智を、痴漢は抵抗しない……泣き寝入るタイプだと判断したのだろう。撫で回していただけの掌が、尻肉を揉み始める。
(き、気色悪っ!)
 大胆かつ露骨な愛撫を身に受け、威智は気持ち悪さに身を震わせる。反射的に、胸に抱き抱えていた鞄を背後に回し、尻をガードする。
 身体と違って一応は動かせた手は、何とか痴漢の手を退かしつつ、尻をカバーする事に成功したのだ。気持ち悪さに反応した、反射的な動きではあったのだが、尻を痴漢の手からガードするという目的を果たすのには、適した動きであった。
 だが、抱き抱えていた鞄が後ろに回った為、今度は胸に隙が出来てしまう。その隙を、痴漢は見逃さない。
 後ろから威智に抱きつく様に、痴漢は両手を威智の前に回すと、白い詰襟の制服の上着越しに、豊かな胸に触れる。掬い上げる様に、揉み始める。
(――! こ、今度は胸?)
 驚き、焦り……身を強張らせる威智は、胸から伝わる微妙な感覚に戸惑いながらも、見知らぬ男に胸を愛撫される嫌悪感を覚える。騒ぎになろうが、これは流石に声を出さなければ、相手を図に乗らせるだけだと考え、威智は口を開く。
 だが、声は出ない。声が出る直前、口を塞がれてしまったのだ。後ろにいる痴漢の両手は、胸に伸びている。つまり、胸を触っているのとは別の誰かが、声を出そうとした威智の意図を察し、口を塞いだのである。
「ん……ん……」
 声が意味不明の呻き声に化けている威智の前に、威智と殆ど背の高さが変わらない長身の男が、強引に身体を滑り込ませて来る。威智の左隣にいた男だ。
 威智の口を塞いだのは、そのグレーのスーツに身を包んだ、大柄なサラリーマン風の男である。三十前後に見える男は、向かい合わせになる様な形で、威智の前に立ちながら、右手で口を塞いでいる。
 そして、空いている左手を、威智の下半身に伸ばす。白いスカートを捲り上げると、スカート同様の色合いのショーツ越しに、威智の股間を撫で始める。
(こ、こいつも……痴漢だ! 痴漢が二人も……)
 身体が自由にならない満員電車の中で、自分が二人の痴漢に挟まれてしまった事を、威智は悟る。両胸を揉まれ、股間を弄られながら。
(何で男の俺が、こんな……朝っぱらから発情してやがる痴漢なんかに、襲われなきゃならないんだ! しかも、二人も!)
 身体が女性化している現在、事情を知らない他者から見れば女性にしか見え無いとはいえ、威智は内的には完全に男のまま。自分が他の男性から、性的な対象として見られる事自体が、威智にとっては想定外の状況。
(ひょっとしたら、あのモテモテヘアカラーの効果で……って、あれは人間以外にしか効果が無い、インチキ商品だから違うか)
 続けて、威智は混乱する頭で、どうすれば痴漢の被害から逃れられるかについて、考えを巡らす。だが、制服や下着越しとはいえ、敏感な胸や股間を愛撫されながらでは、嫌悪感や恐怖感……そして仄かな快楽のせいで、思考にノイズが混ざりまくり、良い考えが思い付かない。
(せめて、もう少し空いていれば、割り込んで逃げられるのに……)
 威智は心の中で愚痴るが、満員の車内は空くどころか、乗り込む乗客が増え、更に車内の密度は増す。威智は身体を逃がすどころか、身動きすら出来なくなる。後ろに回した鞄と手を、前に戻す事すら難しい程に。
 既に、威智には抵抗する手段が無い。前と後ろから自分を挟む二人の痴漢の、為すがままになっている状態。
 そんな威智の状態を、察したのだろう。痴漢達はより大胆に、威智の身体を責め始める。
 後ろから手を回している痴漢が、制服の前を留めるボタンを外す。威智が殆ど手を動かせない混み方の車内でも、痴漢は器用に手先を動かし、上着だけでなく、下に着ているブラウスのボタンまでも、手品師の様に手際良く外してしまう。
(こいつ……慣れてる)
 痴漢に遭うのが初めての威智であっても、自分が腕すら動かせない程に混みあう満員電車の中で、手先を器用に動かし、自分の制服を脱がされれば、その程度の事は察せられる。上着とブラウスのボタンは外され、スポーツタイプのブラは、乳房の上にたくし上げられる。
 満員電車の中で、威智は張りの有る瑞々しい双乳を露出させられてしまったのだ。人から見られない状態だとはいえ、人に囲まれている電車の中で、乳房を露出してしまっている状況に、威智は赤面する。
(な、何で恥ずかしがってるんだ、俺?)
 男の身体の時は、別に胸を露出する事なんて、恥ずかしくも何ともなかったのだが、女の身体になっている今、胸を露出する事は、威智にとって恥ずかしい事となっていたのだ。そんな自分の心理状態に、威智は少しだけ戸惑う。
 だが、そんな威智の心の中など知る由も無く、痴漢の両手は露出し、前に立っている男の身体に押し付けられている乳房に伸びて来る。
 後ろから伸びている痴漢の指先が、前にいる痴漢の身体と威智の乳房の間に、強引に滑り込む。そして、乳房を掬い上げる様に、痴漢は揉み始める。
「――ん」
 制服越しであった、これまでの愛撫と違い、汗に湿る……熱い掌で、直に乳房を愛撫され、威智は思わず、軽く呻く。嫌悪感も、これまで以上なら、同時に感じる快楽も、仄かである段階を超え、明確な快楽となり、威智の身体を興奮へと誘う。
 乳房を揉む合間に、指先が乳首を捏ねる様に、弄り回す。気持ち悪いのは当然なのだが、それでも乳首が硬くなるのを、威智は察してしまう。
(そんな……キモチ悪いのに、何で?)
 自問する威智の頭に、悧音に胸を愛撫された際の記憶が、甦る。心では嫌がり、気持ち悪さを感じている筈なのに、身体は愛撫に反応し、快楽を覚えてしまった時の記憶が。
(感じ易いのかか、俺の身体。痴漢に無理矢理されても、こんな風になるなんて……)
 節操の無い身体の反応に戸惑う威智を、更なる責め苦が襲う。責め方が大胆になったのは、後ろにいる痴漢だけでは無かったのだ。

          ☆          ☆

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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」24 TSF属性・アダルト向けライトノベル

「――その髪で、通う気ですか?」
 翌朝、黒羽裏家であてがわれた、朝日が射し込む自室の洗面台で、アルミニウム製の銀色の櫛を使い、山吹色の髪の毛をライオンの鬣の様に立てていた威智に、背後に現れた桃生が、呆れ顔で問いかける。桃生は部屋まで、通学用の鞄や文房具、制服などを運んで来たばかりだった。
「何か、問題でも?」
 威智の問いに、桃生は頷く。
「今日から威智さんが通う事になる郭里世学園は、校則とか厳しい名門校なんですから、そんな少年チャンピオンのヤンキー漫画に出て来る不良少年みたいな髪では、校門で風紀委員に止められて、学園内に入れません」
「何故、ジャンプやマガジンじゃなくて、チャンピオン?」
 桃生は威智の問いを無視して、エプロンのポケットからブラシとチューブを取り出す。
「ちゃらららっちゃらーん! モテモテヘアカラー!」
 未来の世界から来たネコ型ロボットの様な口振りで、桃生は取り出したブラシとチューブを威智に見せる。
「そ、それは怪シ屋が以前売っていた、フェロモンパワーでモテモテになるというキャッチコピーの、モテモテヘアカラー!」
「流石はバールのようなものも知っていた威智さん、モテモテヘアカラーもご存知でしたか」
「――知ってたけど、まさか買う奴がいるとは思わなかった。そんな髪の毛染めるだけでモテモテになるなんていう、訳の分からない商品」
 その訳の分からない商品を買った人間を目にして、威智は驚きの表情を浮かべる。
「このモテモテヘアカラー、もう私は使いませんから、これで威智さんの髪を黒く染めてあげますよ。制服が汚れたら困りますから、脱いで下さい」
 既に制服姿に着替えていた威智は、制服を脱ぎ、紺色のスポーツタイプのブラとショーツという、下着姿になる。無論、恥ずかしくはあったのだが、悧音とセックスする姿を見られている相手なので、今更気にしても意味が無いと、威智は気にするのを止める。
 桃生はブラシに、チューブから出した染髪剤をのせる。
「もう使わないって事は、効果無かったんだモテモテヘアカラー?」
 桃生はブラシを使って威智の髪に染髪剤を塗りつけながら、返事する。
「人間相手には無かったですね、妙に犬や猫やらの動物には懐かれる様になりましたけど」
 話を続けながらも、桃生は手際良く染髪作業を行う。
「淫乱メス豚……じゃなくて松戸先生の話じゃ、人間はフェロモンを感知する器官が退化してるから効果無いけど、動物相手には効果があるとか」
 染髪剤を塗り終えた桃生は、一分程の時間を置くと、洗面台で威智の髪を荒い始める。シャンプーを使い、染髪剤を洗い落とすと、威智の髪は艶めく黒髪になっていた。
「うわ……黒髪にするの、久し振りだな」
 洗面台の鏡を覗き込みながら、威智は驚きの声を上げる。
「早く制服を着て下さい、髪……セットしますから。急がないと、遅刻しますよ」
 桃生に急かされ、威智は制服を着始める。
「今日は悧音様、車で先に学園に向かわれたんで、威智さんは一人で電車通学しないと駄目なんですから。車なら二十分もかからないけど、電車だと徒歩の時間まで計算に入れて、四十分はかかります。急がないと、転校初日から遅刻する羽目になっちゃいます」
 威智は桃生の言葉を聞き、壁の時計を見る。時間は午前七時四十分。始業時間は午前八時半なので、時間的余裕は無い。
 ドライヤーと櫛を手にした桃生は、威智の髪を乾かしつつ、整髪料と櫛で手際良くヘアスタイルを整える。男としては少し長めであった髪も、女としてなら程好いショートヘアといった程度の長さであり、数分で威智の髪は、ボーイッシュな少女に似合う感じの、スポーティなショートヘアに整えられる。
「――ま、これなら郭里世学園の風紀委員とかにも、文句つけられる事は無いでしょう」
 桃生の言葉を聞きながら、威智は鏡に映る自分の姿を確認する。女子高生にしては背が高過ぎるが、割と見栄えのするボーイッシュな少女が、鏡の中にいる。
(あれ? 結構いい線いってるじゃん、俺。背がでかすぎるから、可愛いって感じじゃないけど、アリかナシかで言えば、十分にアリだわ、これ)
 鏡に映る自分に見惚れた……という程ではないが、女性としての自分の外見が、悪くは無いのを威智が自覚した事に、桃生は気付く。
「あ、威智さん……今、自分の見た目が意外と悪くないとか思いましたね? 自惚れましたね? 恥ずかしいナルシストと化しましたね?」
 図星だったので、威智は狼狽する。
「いや、そんな事……無いって!」
「無駄無駄無駄、無駄ですよ威智さん! この私の灰色の脳細胞が下した、威智さんが女としての自分の姿に自惚れてしまったという推理が、外れる事などあるでしょうか? 無論、ありえませんッ!」
 以前と違い、今回の推理は当っているだけに、威智としては気まずい。
「あ、俺……遅刻したら困るから、もう行くよ! 髪……有難うな!」
 染髪と整髪の礼を口にしてから、威智は鞄を手に取ると、桃生を部屋に残して、逃げ出す様に部屋を後にする。

 桃生から逃げる様に部屋を……そして黒羽裏家の屋敷を出た威智は、十分後……黒羽裏家の最寄り駅である、郭里世線の西境目駅のホームに、辿り着いていた。通勤通学客だらけのホームには、威智が通う事になった郭里世学園の最寄り駅……郭里世学園前駅に向かう電車が停車していて、ドアには角砂糖に群がる蟻の様に、客達が殺到していた。
(うわ……乗りたくないレベルの満員電車だな。でも、これ乗り損なったら、遅刻確定な感じだし……仕方が無いか)
 威智は溜息を吐いてから、最寄のドアに向かって歩き出し、他の乗客達と一緒に、まさに寿司詰め状態の電車に乗り込む。威智を乗せた直後、ドアは閉まり、電車は走り始めた……。

          ☆          ☆

 TS(性転換)して電車に乗ると、痴漢されるフラグが……以下略。

          ☆          ☆

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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」23 TSF属性・アダルト向けライトノベル

 テーブルを囲み、悧音と天魔……そして桃生は、今後の事について、色々と話をした。血塗鴉の支配下に入るのを避ける為、威緒は結界に守られた地下病棟から出られず、冴子の治療を継続的に受け続けなければならないという話や、威智は向こう一年の間、実質的な黒羽裏家の家人となり、血塗鴉退治に協力する事になったなどという話……。
 天慶家の方には、既に天魔が連絡を入れていて、正直に詳しい事情を告げた上で、威智と威緒の身柄を黒羽裏家が預かる事に同意しているという話。そして、性別が変わってしまった威智は、これから一年の間、女生徒として悧音と同じ高校に通う事になるなどといった話を、悧音達は天慶姉弟にしたのだ。
 伝えるべき話を伝えた後、悧音と天魔は他に仕事がある為、部屋を後にした。天慶姉弟の世話を申し付けられている桃生と、天慶姉弟だけが残る室内で、威智と威緒は、話を始める。
「――それにしても、ホント驚く事ばかりだよ。吸血鬼が実在してて襲われるわ、久し振りに会った悧音君は昔のままだわ……」
 そして、威緒はしげしげと、威智の胸を凝視する。
「おまけに、弟が妹になっちゃうし」
「いや、俺……妹にはなってないから! 向こう一年間だけ、身体が女になったままな……ひッ!」
 威智は驚きの声を上げる。突如、威緒に胸を掴まれたのだ。
「つーか、何であたしより胸が大きいのよ? 弟だろうが妹だろうが、年下なのに変わりは無いんだから、少しは遠慮しなさいってば!」
「知るかよ! 女の身体になったら、いきなりでかくなってたんだし!」
「あたしは吸血鬼になるか、トラッシュとかいう変なのになるかの瀬戸際だっていうのに、何であんただけ、そんな羨ましい身体になってる訳?」
 女の身体になっている弟の胸を、乱暴に揉みながら、威緒は食って掛かり続ける。
「同じ吸血鬼の被害者だっていうのに、差別じゃない! 何か納得行かない!」
「そ、そんな事を俺に言われても……俺は、こんな胸がでかい女の身体になって、別に嬉しくもなんともないんだって!」
「あたしなんて、地下に閉じ込められて、学校にも通えないのに、あんたは転校するだけで、学校には通えるんだし……その時点で、あたしより百倍くらいマシでしょ!」
(確かに、威緒姉に比べれば、俺の状況は遙かにマシか……)
 地下に閉じ込められもせず、転校する羽目になっても学校には通えるし、吸血鬼やトラッシュになるリスクを背負っていない自分は、威緒に比べれば恵まれているのかも知れないと、威智は思う。
「安心しろよ、俺が血塗鴉なんて倒して、すぐに威緒姉を元の生活に戻してやるから!」
「――本当?」
 威緒の問いに、威智は力強く頷く。
「絶対……約束だからね!」
 不安げな声で、そう言いながら、威緒は威智の胸から手を離し、小指を伸ばした状態の右手を差し出す。指切りを求めて。
 威智は威緒を安心させるかの様に、差し出された威緒の小指に自分の小指を絡め、指切りをした。まるで、子供時代に戻ったかの様に。

「いいんですかねー、血塗鴉なんて倒してとか、安請け合いしちゃって」
 威緒の個室を後にして、地下病棟の中を歩きながら、桃生は威智に語り掛ける。
「いくら人材難といえる当代とはいえ、黒羽裏家ですら梃子摺っているんですから、神出鬼没の血塗鴉には」
「そうなの?」
 威智の問いに、桃生は頷く。
「そもそも、倒そうにも所在すら掴めないというのが、現状なんです。吸血行為を行ったり、空を飛んだりと、魔力を消費する活動を行えば、悧音様は血塗鴉の所在を感知出来るんですけどー、私や陰険執事が駆け付ける頃には、逃げられちゃってるんですよねー、毎回」
 自嘲気味に、桃生は肩をすくめる。
「僕の数が少な過ぎるんですよ、悧音様は。そもそも、これまで陰険執事と私しか、魔法戦闘が可能な直接の僕がいなかったんですから」
 実際は、悧音がアテュを授けた僕は、天魔に桃生……威智以外にも、あと七人いるのだが、その七人は担当する別の任務があり、悧音の元を離れているのだ。
「ま、これからは威智さんもお仲間に入る訳で……多少は状況がマシになる訳ですけど」
「――俺、魔法戦闘のやり方なんか、知らないぜ」
「大丈夫、私や陰険執事がやったみたいに、おへその辺りに手を置いて、『スプレッド!』と宣言すれば、自動的に変身しますし、変身してしまえば、頭の中に戦闘方法がインストールされますから、どう戦えばいいかは、自ずと理解出来ますんで」
「そ、そんなもんなの?」
「そんなもんです。ただの人間を強力な魔法戦闘員に変える、とても強力で貴重なカードなんですよ、黒羽裏家が受け継いでいるアテュは」
 桃生の話を聞きながら、その貴重なカード……アテュが融合している、自分の腹部を、威智は摩ってみる。
「ま、そういう訳なんで、これから一応……普通に女子高生として威智さんは生活する事になるんですけどー、私達から呼び出しを受けたら、即座に指示通りに動いて下さいね」
 地下病棟の鉄扉を開きながら、桃生は続ける。
「血塗鴉らしき反応を悧音様が感じ取り次第、連絡を入れますから」
(相手が魔力使ってから、その反応を感知してから駆け付けるんじゃ、幾ら僕として俺が加わった所で、大して状況は変わらないんじゃないか?)
 威智は桃生の言葉に、素直に頷きつつも、言葉に出さずに思いを巡らす。
(とりあえず、俺自身で色々と調べて回ってみるか。その方が、血塗鴉を探し出せる可能性が高くなるだろうし)
 心の中で呟きながら、威智は桃生の後に続き、地下病棟を出た。

 その日の夜、午後十一時頃、威智は悧音の寝室にいた。悧音に部屋に来る様に、呼び出しを受けたのだ。
 アンティークで落ち着いた家具が設えてある、ホテルのスイートルームを思わせる広さの部屋の中央に置かれたベッドには、黒いパジャマ姿の悧音が、ちょこんと子供の様に腰掛け、その傍らには天魔が控えていた。
「何だよ、こんな時間に寝室とか呼び出しやがって? まさか、また……さっきみたいな真似をする気じゃないだろうな?」
 さっきみたいな真似……つまり、性行為の事を思い出し、吐き気を覚えながら、威智は悧音に問いかける。
「あんな真似、必要性も無いのにする訳が無いだろう。幾ら身体が女だろうが、男を抱く趣味は、僕には無い」
 不愉快そうな口調で、悧音は威智の問いに答える。
「むしろ、ああいう真似をせずに済む為の儀式をする為に、呼び出したんだ」
「儀式って?」
「黒羽裏の六芒星が消えない様に、悧音様と威智さんのマジック・パス維持する為、定期的に性的な行為を行う必要があるんです」
 天魔の説明を聞いて、威智の表情が引き攣り、声が上擦る。
「せ、性的な行為って……」
「ご安心下さい、先ほどの様に……セックスまで行う必要は有りません。古来より決まっている仕来り通りの手順で、キスするだけで構わないんですから」
 キスだけでいいと知り、安堵する自分に、威智は心の中で突っ込む。
(いや、キスだって嫌がらないと駄目だろ!)
「この儀式……服従の儀式を十二時間に一度行わないと、黒羽裏の六芒星が消えてしまうので、また悧音様とセックスして頂く事になるのですが……その方が宜しいですか?」
 天魔の問いに、威智は慌てて首を横に振る。幾らなんでも、また悧音に抱かれるくらいなら、キスだけで済んだ方が良いと、威智は思ったのだ。
「――でしたら、これから私の支持通りにして下さい。簡単な儀式ですから、そう気負わずに」
 威智は、天魔の言葉に頷く。
「それでは、まず悧音様の前に、跪いて下さい」
 跪くという言葉を聞いて、威智は眉をひそめる。跪くという行為は、相手にへりくだり、従属の意志を示す行為である。そんな行為を、悧音相手にする事に対し、威智は反感を覚えたのだ。
「余り気分の良い行為では無いと思いますが、そうしなければ、先程の様に……」
「分かったよ! やればいいんだろ!」
 幾らなんでも、また悧音に抱かれるよりはマシだと、威智は自分に言い聞かせつつ、言葉を吐き捨てる。そして、悧音の前に歩いて行くと、仏頂面のまま跪いてみせる。
「――次は、私の言った通りの言葉を、繰り返して下さい」
 そう言うと、天魔は少し芝居がかった様な口調で、言葉を続ける。
「我が主よ、我に力を授け給え。さすれば、我は主の敵を討ち滅ぼす剣となり、主を護り通す盾となろう」
「えーっと、我が主よ、我に力を授け給え。さすれば、我は主の敵を討ち滅ぼす剣となり、主を護り通す盾となろう……だっけ?」
 心許ない感じで問いかける威智に、天魔は頷く。
「聞き入れよう、その願い」
 今度は悧音が、芝居がかった口調で、威智に語り掛ける。
「我が僕よ……受け取るが良い、我が力を」
 そう言うと、悧音は身体を前に倒しつつ、威智の頬に手を添える。
「え? あ……いや、ちょ……ん!」
 慌てて何か口にしようとしたのを無視し、悧音は強引に、威智と唇を重ねる。軽いキスでは無い。唇を割り……舌を絡め合う様な濃密なキスを、悧音は威智と交わす。
 思わす、身を捩って悧音から唇を離そうとする威智を、天魔が言葉で制止する。
「そのまま、深く唇を重ねて下さい。少しの間……深く唇を重ね続けないと、マジックパスを維持するのに充分なだけの悧音様の魔力が、威智さんの身体の中に浸透せず、服従の儀式が成立しないんです」
 天魔の言葉を聞いた威智は、仕方が無く、悧音との深いキスを続ける事にした。舌を絡め合い、唾液を交換する様な、深い接吻を。
 無論、男相手……しかも、基本的には嫌いな相手とのキスである為、威智にとっては、不愉快なキスであった。しかし、時間が経過するにつれ、その不快さが次第に消え、心地良さすら感じ始める自分に、威智は気付いてしまう。
 悧音と合わせた唇から、何か温かく心地良い何かが、自分の中に流れ込んで来て、全身に広がって行くかの様な感覚を、威智は覚えていた。真冬……冷えた身体に、口にした温かなコーヒーの温もりが、全身に広がって行くかの様な、温かで心地良い感覚……。
「――ん……」
 その心地良さが、思わず吐息として、合わせた唇の隙間から漏れてしまい、威智は理性を取り戻す。
(な、何で悧音とキスして、気持ち良くなってるんだよ、俺は!)
 自分に突っ込みを入れる事により、悧音とのキスの気持ち良さを、貪りそうになる自分を、威智は抑え込む。
「気持ち良く……なったみたいですね。もう、終わりにしていいですよ、悧音様も威智さんも」
 天魔の言葉を聞いて、悧音は深く重ね合っていた唇を離す。悧音の頬は赤く染まっている。悧音も威智同様に、心地良さを感じていた証拠である。
「気持ち良さを感じれば、マジック・パスの維持に必要なだけの魔力の供給は終わり、服従の儀式は完遂されたと判断出来ます」
 威智は天魔の説明を聞きながら、二人分の唾液に塗れた、口元を手で拭う。悧音は天魔に、ハンカチで口元を拭われている。
「お二人には、これから毎日……最低でも二度は、この儀式を行って頂かなければいけません」
 平然と言い切る天魔の言葉を聞き、威智と悧音は露骨に嫌そうに顔を顰める。
「まぁ、お嫌でしょうが……黒羽裏の六芒星が消えて、セックスする羽目になるよりは、良いだろうと考えて、諦めて下さい。威智さんをサッキュバス化させる訳には、いかないんですから」
 悧音と威智は、渋々とではあるが、頷く。
(これから毎日、こいつとキスしなきゃなんないのか……。しかも、跪いて……俺からキスを強請るみたいに)
 威智は悧音に目をやりながら、これから続くだろう毎日を想像して、げんなりとした気分に陥り、深く溜息を吐く。それでも、血塗鴉に襲われて死んでいたよりは、生きてるだけマシだろうと、自分に言い聞かせながら……。


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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」22 TSF属性・アダルト向けライトノベル

 暖かなシャワーの水滴が、滑らかな肌を雨の様に打ち、白いタイルが敷き詰められたバスルームの床に落ちる。愛哉に案内されたバスルームで、威智は身体を洗っているのだ。
 まだ、破瓜の痛みが残る股間を、ボディソープの泡に塗れた指先で、威智は洗う。粘膜が染みるのを堪えながら、悧音が中に放った体液を、掻き出す。
「中で出しやがって……妊娠とかしたら、どうすんだよ?」
 何とか膣内を洗い終えた後の、吐き捨てる様な威智の呟きに、ドア越しに桃生が答える。
「あー、妊娠とかの心配でしたら、無用ですよー。後で淫乱雌豚……もとい松戸先生に、避妊用魔法薬とか処方して貰えば、いいだけですから」
「そんなもん、有るの?」
「あの淫乱雌豚……じゃなくて松戸先生は、自分が性的快楽を貪る為に、その手の薬を色々と開発してるんです。避妊薬は当然、あらゆる性病の治療薬やら、色々と……」
(そういえば、クリトリスを大きくする、カルーア・ミルクとかいう魔法薬も開発してたな、あの女医者)
 自分が犯されそうになっていた時の事が、威智の頭に甦る。
(あ……考えてみれば、あの時に初体験しとけば、少なくとも男相手に初体験するなんていう、悪夢の様な展開は避けられたんだ)
 身体を洗いながら、威智はがっくりと、肩を落とす。
「身体、洗い終わったら、ここにある服に着替えて下さい。松戸先生の所に連れて行くように、悧音様に言われてますんで」
「避妊薬……貰いに行くの?」
「それもありますけど、威緒さんに会わせる為ですよ。お姉さんの事、威智さんも気になっているでしょう?」
「そりゃ、勿論」
 昨夜、血塗鴉に襲われて以来、威智は威緒と顔を合わせていない。吸血鬼やトラッシュとなるリスクは背負ったものの、治療を終えて地下病棟にいるという事を、聞いてはいたのだが。
 早く威緒の顔が見たかった威智は、素早く身体を洗い終えるとバスルームを出て、桃生が用意した服……胸がキツい執事服を着ると、桃生に案内され、悧音の執務室で悧音や天魔と合流すると、地下病棟に向かった。

 先導する桃生に、悧音と天魔、そして威智が続いて、階段を下りて行く。地下三階に下りた一行は、隔離用の分厚い鉄扉を開け、その先にある地下病棟に入る。
「この鋼鉄製の扉だけでなく、魔法による防御結界によって、地下病棟は完全に隔離されてるんですよ。外部からの干渉を避ける為に」
 厚さが三十センチ程ある、重たい鋼鉄製の扉を、軽々と開閉しながら、桃生は威智に説明する。
 そして、鉄扉の中の通路を通りながら、桃生は説明を続ける。
「この通路の右側には、食堂や浴室……娯楽室などがあり、左側には寝室を兼ねた個室があります。外には出られませんが、威緒さんは普通に生活する事が出来ますよ。そして……」
 桃生は通路の奥にある、黒い扉を指差す。
「吸血鬼やトラッシュと化する傾向が見られた、吸血鬼の被害者達は、あの停時室に送られ、襲った吸血鬼……今回の場合は血塗鴉が倒されるまで、そこで眠り続ける事になります」
「停時室って、何だ?」
 威智の問いに答えながら、桃生は食堂のドアに手をかける。冴子から威緒は食堂で食事をしていると聞いていたので、桃生は食堂に入ろうとしているのだ。
「時間が停まっている……と感じられる程に、通常の空間より時間の流れが遅い部屋の事です。停時室に送り込めば、それ以上の症状の進行を止められるので、処置のしようが無い者達は、とりあえず停時室に送り込んで、解決策が分かるのを待つんです……眠ったまま」
 桃生の説明を、天魔が補足する。
「これまで、黒羽裏家が保護した血塗鴉の被害者達が、既に二十人以上、停時室で血塗鴉が倒されるのを、待っているんですよ」
 食堂のドアを開け、桃生は中を確認する。
「あれ? 威緒さんは? 弟さんを連れて来たんですけど……」
 すると、食堂のテーブルを布巾で拭いていた、二十歳前後のメイドが、桃生の問いに答える。
「威緒さんなら、個室の方に戻りましたよ」
 メイドの返事を聞いた桃生はドアを閉め、通路を挟んで反対側に並んでいる個室の中から、「天慶威緒」というネームプレートが掲示されているドアの前に行く。
「ここが、威緒さんの部屋です……ん?」
 部屋の中から、何か変な声が聞こえた気がした桃生は、耳を澄ます。
「止めて……下さい、先生!」
「止めていいのかな? 威緒ちゃんのここは、止めて欲しがってないみたいだけど……ほら、こんなに濡れてるし」
「濡れて……無いですッ!」
「こんなに濡れてるなら、もう挿れても大丈夫だよね」
「大丈夫じゃ、無いですってば! 嫌です! 止めて下さいッ!」
「嫌よ嫌よも、良いの内って言うからねー」
 二人の声には、桃生だけでなく威智にも聞き覚えがあった。嫌がっている方が、姉である威緒の声。もう一人の声は、冴子のである。
 苦虫を噛み潰したかの様な、不愉快そうな表情で、桃生はドアノブを捻る。だが、鍵が締まっているのだろう、ドアは開かない。
 一応、屋敷のメイドである為、大抵の部屋の鍵を持ち歩いている桃生は、メイド服のポケットから鍵束を取り出すと、即座に鍵穴に該当する鍵を挿し込み、鍵を開ける。
 そして、ドアを開けると、桃生と威智……悧音と天魔の目の前に、ベッドの上で蠢く二つの裸体が、姿を現す。より正確に言えば、ベッドの四方の柱に、四肢の先を縛り付けられていた裸の威緒の上に、同じく一糸纏わぬ冴子が、伸し掛かろうとしていたのだ。
 冴子の股間は、先ほど……威智を襲っていた時と同様の状態であった。男性器の如く形を変えたクリトリスで、まさに冴子が威緒を貫こうとした直前、桃生達が部屋に入って来たのである。
「まーた懲りずに、大事な来客に手を出そうとしていやがったのか、この淫乱メス豚の色情狂がッ!」
 部屋に入って来た桃生達の存在に気付き、冴子は焦りの表情を浮かべ、桃生達の方を振り向く。
「え、あ……いや、これは、その……治療の一環というか、黒羽裏家の新しい家人と、親しくなる為のスキンシップというか……」
 冴子は狼狽し、かなり苦しい言い訳を口にするが、通用する訳も無い。
「裸になって、相手をベッドに縛り付けた上で、伸し掛かっておきながら、スキンシップですとぉ?」
 冴子の股間に、桃生の目線が移動する。いきり立ったままの物を目にして、桃生は言葉を吐き捨てる。
「しかも、カルーア・ミルク飲んで、股間をそんな状態にしてる時点で、犯る気満々なのは見え見えですっ!」
 苦しすぎる冴子の弁解になど耳を貸さず、桃生は腹部に右掌を当てながら、叫ぶ。
「スプレッド!」
 桃生の叫びに応え、右掌の下に出現した黄色いカードは、猛烈な勢いで分裂と拡散を繰り返し、桃生の身体を、瞬時に多い尽くす。カードは瞬時に色と形を変え、真紅のコスチュームとなる。
 女帝のカードで変身する魔女……クリムゾン・ミストレスとしての姿に、桃生は変身したのだ。殆ど、SMの女王様にしか見えない格好の。
「ドロー! ストリクト・ディシプリン!」
 桃生は叫び、魔法の鞭であるストリクト・ディシプリンを出現させると、身構えつつベッド上の威緒に問いかける。
「一応確認しておくけど……合意の上の訳が無いよね?」
「合意して無いですッ!」
 桃生の問いに、威緒が悲鳴の様な声で返事をする。
「――それなら、御仕置きしておかないとねぇ、この性犯罪者には! いいですね、悧音様?」
 呆れ顔で冴子を見ていた悧音は、桃生の問いに頷く。
「松戸先生も、幾ら不死身とはいえ……懲りませんねぇ」
 呆れ顔で呟く天魔の目線の先にいる冴子に、桃生が振るったストリクト・ディシプリンの先端が襲い掛かる。笛の様な音を立てて、ストリクト・ディシプリンは冴子の身体に絡み付く。
「成敗ッ!」
 そのまま、冴子はストリクト・ディシプリンを振り回し、悲鳴を上げる冴子の身体を、釣竿で釣り上げた魚の様に宙に釣り上げてから、勢い良く床に叩き付ける。
 苦しげな呻き声を上げると、フローリングの床の上に身体を投げ出し、冴子は動かなくなる。気を失ったのだ。
「あ……有難う、桃生さん。今度も……助けて貰って」
 冴子に襲われていたのを、助けられるのが二度目である威緒は、ベッドに縛り付けられたまま、桃生に礼を言う。
「――ま、今回も一応……未遂の状態で助けられた様で、良かったですよ。くれぐれも、この淫乱メス豚と部屋で二人っきりにならないように、気をつけて下さいね、威緒さん。犯されたくなければ」
 そう言いながら、桃生はストリクト・ディシプリンを振り、威緒の身体を縛り付けていたロープを切断し、拘束を解くと、変身を解除する。
「治療について話があるって言われたから、つい部屋の鍵を開けて部屋に入れたら、急に襲われて……これからは気をつけます」
 身体の自由を取り戻した威緒は、桃生に言葉を返しながら、ベッドの周りに落ちていた衣服を、素早く身に着ける。そして、身支度を整え終えた威緒は、何時の間にか天魔が用意したテーブルを、悧音達と共に囲み、椅子に腰掛ける。

          ☆          ☆

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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」21 TSF属性・アダルト向けライトノベル

 子供にしか見えない身体に相応しいサイズである為、小さくはあっても充分に硬くなっている悧音の物は、威智を貫くのに充分である。まともに毛すら生え切っていない白いペニスが、愛撫で弛み濡れているとはいえ、抵抗感の強い威智の秘部を、抉じ開けて行く。
 その度に、下半身から伝わって来る痛覚に、威智は苦しげな呻き声を上げる。感じ始めていた心地良さを、苦痛があっさりと上書きする。
 だが、痛覚としての苦痛より、威智を苛むのは、同性の幼馴染に犯され、初体験をしてしまう事に対する嫌悪感の方。夕食も朝食もとっていない為、胃が空に近い状態だったからこそ、嘔吐せずに済んだと言える程、その嫌悪感は強い。
 身体を逃がそうにも、腕は天魔に、脚は桃生に押さえつけられているので、威智は身動きが出来ない状態。威智は悧音の為すがままになるしかないのだ。
「バカ! 変態! 男相手に何やってんだよ、ホモチビのメソリオン! 気色悪いもん、抜けよッ!」
 威智は続けて、口汚い罵詈雑言を並べ立てる。身体が動かないなら、せめて言葉で悧音の気を殺ごうという腹づもりで。
 しかし、そんな罵詈雑言を口にする事自体が、威智が受けている精神的なダメージの証拠でもある。故に悧音は気をそがれるどころか、むしろ積極的に、威智を責め始める。
 慣れぬ動きではあるが、腰を前後に動かし、狭い威智の膣内の肉壁を、ペニスで削る。豊かな両胸に手を伸ばし、手に余る肉の塊を揉み込む。
「――あ」
 股間と胸からの心地良い刺激に、威智の罵詈雑言が途切れ、甘い声が漏れる。
(やばい、俺……胸が感じ易いみたいで、胸と股間一緒に責められると……)
 先ほど、悧音にクンニリングスをされるのと同時に、胸も愛撫された際、あっという間に愛液を秘部から垂れ流す程に昂ぶらされてしまったのを、威智は覚えていた。そして、股間を貫かれ胸への愛撫を受けいてる今現在、急速に昂ぶりつつある自分を、威智は自覚しつつあった。
 悧音は威智の左乳首に顔を寄せ、吸い付いている。左手で右乳房を揉んでいる。空いた右手は威智の身体の各所を撫で回している。
 無論、その間も悧音の腰は動き続けている。狭くはあっても、潤沢に分泌される愛液の補助を受けているせいで、ペニスはスムーズに威智の中を蠢く事が出来る。
 悧音の少女の様な色合いの唇が、右の乳首に移る。硬く膨らんでいる乳首を含み、悧音は舌先で転がしつつ、吸い上げる。
 同時に、威智が切なげな声を漏らす。既に罵詈雑言を口にするだけの余裕が、威智には無い。破瓜の痛みや嫌悪感……そして、それらの苦痛や不快感と拮抗する、胸や股間から全身に広がる心地良さのせいで、言葉を発するだけの余裕が、威智には無い。
 昂ぶっているのは、威智だけでなく悧音も同じである。余り自覚が無かったとはいえ、色濃く自分の好みを反映させる形で女性化させてしまった威智の肉体は、悧音にとっては相性が良く魅力的であったのだ……悧音本人は認め難い事実なのだが。
 身体を重ねている二人の呼吸は荒く、何処か切なげである。どちらも絶頂に近付いているのだ。
 その事に気付いた天魔が、悧音に話しかける。
「悧音様、そろそろ……ご準備を」
「――分かっている」
 乳首から唇を離し、悧音は天魔に返事をする。天魔が太腿を使って、器用に威智の顔を起こす。悧音が唇を重ね易くする為に。
 悧音は顔を上に向けると、少しだけ躊躇ってから、威智と唇を重ねる。舌が絡み合う様に、深い口付けを交わす。
 その姿勢のまま、悧音は腰の動きを早める。子供にしか見えない身体を、悧音は激しく威智の身体に打ち付ける。
「ん!」
 動きの激しさが、襲い来る快感の度合いを高めた為、威智は重ねた唇から、苦しげで……それでいて甘い吐息を漏らす。
(やばい……何か……気持ち……いい)
 ネガティブな感情が、押し寄せる快楽の波に押し流される。絶頂に達する寸前といえる状態となった威智は、涎を口元から情けなく垂らしながら、悧音と舌を絡め合う。
 だが、同調するかの様に昂ぶっていた悧音の方が、先に限界を向かえ、達してしまう。
「く……」
 軽く呻きながら、悧音は幼いペニスの先端から、熱い粘液を迸らせる。破瓜したばかりの威智の膣内に、悧音のものが撒き散らされたのだ。
(な……中で……出されちゃった)
 身体の中から感じる熱で、自分の中で何が起こっているのか、威智には分かる。快楽のせいで思考力が落ちている状態であっても。
 幼馴染の少年……しかも、子供にしか見えない相手に破瓜された挙句、中で出されてしまったという衝撃が、絶頂間近だった威智の中の何かを壊し、絶頂へと誘う。
「――んーん!」
 重ねたままの唇から、呻き声が漏れる。汗に濡れた身体が、快感の大波に揺さぶられているかの様に振るえ……ベッドを軋ませる。
 快楽を貪る威智の上にいる悧音は、同じく快楽を感じてはいるものの、肝心な儀式としての行為を行わなければならない。射精と同時に悧音自身の身体から放たれた大量の魔力を、一度……威智の身体を通した上で、自分に戻さなければならないのだ。
 射精の直前、悧音が威智と唇を重ねたのは、その為である。射精と同時に悧音から威智の体内に、精液と共に放たれた魔力は、威智の全身を駆け巡った後、唇から悧音の中に戻って来る。
 つまり、悧音の放った魔力に、威智は身体を貫かれた状態……悧音の魔力の経路が、威智の身体の中を通じてしまっている状態なのである。この状態を、魔力の経路……マジック・パスが通じている状態という。
 悧音が威智を抱いたのは、マジック・パスを通じさせる為だったのだ。通常は性的な関係を持たずとも、キスなどによって、軽く体液を交換するだけでマジック・パスは通じるのだが、ザ・ラヴァーズのカードで僕……アテュとなった者が、黒羽裏の六芒星を失った場合だけは、完全に身体を重ねた上でなければ、マジック・パスが通じないのである。
 それ故、悧音は本来男である威智との「儀式」を、嫌がったのだ。結局、使命感だけでなく、威智への復讐としての嫌がらせという目的が加わった為、その儀式を行う事になったのだが。
 マジック・パスが通じてしまえば、後は簡単である。マジック・パスの経路の片方……唇で、黒羽裏の六芒星が記されるべき場所、威智の場合は胸元に触れれば、黒羽裏の六芒星は復活し、威智は悧音の完全な支配下に置かれ、サッキュバス化を避けられる。
 悧音は快感で惚けかけていながらも、やるべき事を行う。積極的に唇を求めようとする威智から唇を離すと、身体を下にずらし、いやらしく汗に滑る威智の胸元の肌に、唇を寄せる。
 不快では無い汗の匂いを嗅ぎつつ、汗に照る威智の滑らかな肌に、悧音は口付ける。すると、悧音が唇で触れた部分に、ゆっくりと灰色の六芒星が浮き上がって来る。
「――黒羽裏の六芒星が、刻まれました。どうやら、儀式は成功した様ですね」
 威智の胸元に再び記された、黒羽裏の六芒星を見下ろしながら、天魔が安堵の声を漏らす。
「ああ、これで被害者が出る事は無い」
 そう言いながら、悧音は身体を起こし、威智から身体を離す。もう少し……身体を重ねたままでいたい気が、悧音はしたのだが、そうすれば、まるで自分が好き好んで威智を抱いた様に、天魔や桃生……そして威智に思われるかも知れないので、それを避けたのである。
 まだ太さと硬さを維持したままとはいえ、幼い悧音の物が、威智の中から抜ける。破瓜の血と精液に濡れた自分の物を、天魔が差し出したタオルで拭いながら、悧音は威智を見下ろす。
 既に儀式は終わったので、天魔と桃生による拘束を、威智は解かれている。蕩けた様な表情を浮かべたまま、身体で息をして豊かな胸を上下させつつ、威智は快楽の余韻に浸り、ベッドの上に身体を横たえている。
 女性としての身体の方が、絶頂を迎えた後、性感が静まる曲線が緩やかである。初めて、女性の身体で絶頂に達した威智は、男性の時の様に簡単に昂ぶりが治まらない自分の身体に戸惑いつつ、余韻を楽しんでしまっていた。
「随分と楽しんでいたみたいだが、まだ抱かれ足りないみたいだな、威智」
 そんな威智の状態を見透かしたかの様に、ベッドの上で膝立ちの姿勢をとっている悧音は、嘲りの声をかける。
「だったら、次は切裂にでも相手をさせてやろうか?」
 そんな悧音の声を耳にして、快楽の余韻に浸り、惚けていた状態の威智は、ようやく正気を取り戻す。そして、正気に戻った威智の頭に、悧音が「随分と楽しんでいたみたい」と表現した状態だった、少し前の自分の記憶が甦る。
 嫌悪感と羞恥心に苛まれつつ、威智は起き上がり、声を上げる。
「じょ、冗談じゃない! その……儀式が終わったなら、もういい……痛ッ!」
 いきなり身体を起こした威智は、股間に鈍い痛みを覚え、目線を股間に落す。破瓜の血と精液……赤と白の混ざり合う液体に濡れた、股間を。
(男と初体験して……中で出されたんだ、俺……)
 全身から力が抜ける様な感覚を覚え、威智の顔が青褪める。先ほどまで、心地良さを感じてしまっていた自分が信じられない程、威智の中での嫌悪感が強くなり、股間から感じる現実の痛覚と合わさり、威智を苛む。
 精神と肉体のダメージが重なり、威智の目が潤み始める。まさに泣き出す寸前といった状態の威智。
 そんな威智を気遣ったのだろう、天魔が威智に股間を拭う為のタオルを手渡しつつ、桃生に命じる。
「愛哉さん、威智さんをバスルームまで、案内してあげて下さい。此処は、私が片付けておきますから」
「りょーかいッ!」
 桃生はおどけた様に天魔に敬礼すると、威智が股間を大雑把に拭い終えるのを待つ。そして、拭い終えた後、うなだれている威智の手を引き、桃生は部屋を後にした。
「――儀式として抱くのは仕方が無いとしても、威智さんを苛め過ぎですよ、悧音様」
 天魔は悧音に服を着せながら、悧音を窘める。
「いいんだよ、あれ位。僕は昔、あいつにもっと酷い目に遭わされたんだから!」
「そういった幼稚な復讐心は、黒羽裏家の当主として、相応しくありません。威智さんは今回、魔に属する者の被害者といえる立場なのですし、これからは協力して貰う訳ですから、今回の様な事……今後は控えて下さい」
「――分かったよ……というより、これから威智を抱く様な事など無いから、控えるも何も……今回の様な事は、今回っきりだ」
 悧音は割りと素直に、窘める天満の言葉を聞きいれる。多少、自分でもやり過ぎたかも知れないと、自覚していたのだ。
「本当ですか? 威智さんだけでなく、悧音様も結構、楽しんでおられた様ですから、また抱きたくなったりもするのでは?」
 からかう様な、天魔の口調。
「そんな訳無いだろ! あいつは本来、男なんだぞ! 儀式として必要な場合でも無い限り、抱いたりする訳が無いだろ!」
 語気を荒げ、悧音は続ける。
「そもそも、僕はあいつと違って、別に楽しんでなんかいないからな!」
「――ま、そういう事にしておきましょうか」
 頬を染めて抗議する主を、楽しげに見下ろしながら、天満は悧音のジャケットのボタンを留める。


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