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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」20 TSF属性・アダルト向けライトノベル

(――ヤバくねえか、これ?)
 身体の自由を奪われ、仰向けに寝転がされている状態で、右の膨らみに顔を埋められ、唇と右掌で左の膨らみを愛撫されている威智は、心の中で自問する。愛撫されている胸から、全身に広がるかの様な心地良さに、嫌悪感で強張っていた身体が、次第に解されつつあるのを、威智は自覚しつつあった。
 男……しかも子供時代に苛めた相手に組み敷かれ、愛撫を受けているという、まともな性癖の男としては受け入れ難い筈の状況自体が、ヤバいのは当然である。その上、ヤバい状況であるにも関わらず、快感により嫌悪感や拒否感が、次第に薄れつつある自分自身の状態が、それ以上にヤバいのではないかと考え、威智は身を震わせる。
(とにかく、この状況をどうにかしないと、マジでやられちまう!)
 威智は解れかけた身体全体に力を込め、必死で身を捩る。だが、両手と両足を拘束する、天魔と桃生の力は強く、威智の身体は自由にならない。
「まだ抵抗とかするんだ、無駄なのに」
 顔を上げ、乳首から唇を離した悧音が、嘲り気味の口調で、威智に語りかける。わき腹を撫でていた左手を、威智の股間に移動させながら。
 威智の薄い草叢に、悧音は探る様に指を這わせる。
「止めろ! ど、何処……触ってるんだよ!」
 秘すべき部分を撫でられ、思わず威智は、甲高い声を上げてしまう。身をすくめ、股間を閉じようとするが、桃生に押さえられている両足を閉じる事は出来ない。
 細い指先は、あっさっりと秘裂を探り当て、既に湿りつつあるのを確認する。まだ自分のモノを侵入させる程には、膣口が弛みきってはいない事も。
「口では嫌がってるけど、もう濡れてるじゃないか。本当は男にされるの、威智は好きなんじゃないの?」
 悧音のからかいの言葉に、威智は怒鳴り声で言い返す。
「濡れてなんかないし、男にされるのなんて、好きな訳が無いだろ!」
 すると、悧音は粘液に濡れた左手の指先を、股間から引き抜いて、威智の眼前に突きつける。指の間で粘液が糸を引いている状態を、悧音は威智に見せ付ける。
 実際に濡れている事実を見せ付けられ、威智は罵倒の言葉を飲み込んでしまう。言葉で言い返しても、否定するには無理がある証拠を突きつけられてしまったのだから、そうなるのも無理は無い。
「ま、濡れてはいるけど、もう少し解さないと、初めての威智に入れるのは難しいだろうから、僕のを入れるのは……口でしてからにしてあげるよ」
「く、口って……まさか!」
 驚きの声を上げた、威智の推測通り、悧音は身体を下にずらし、顔を威智の股間の辺りに移動させる。太股の間で正座する様に座り込むと、粘液で僅かに濡れている草叢を見据える。
 毛の間から透けて見える秘裂は、薄い桃色。桜の花弁を思わせるといえば、流石に言い過ぎだろうが、初物だけの事はあり、冴子のモノしか見た経験が無い悧音にも、目の前にあるモノが、かなり綺麗である事は、察せられる。
「無論、そのまさかさ」
 悧音は悪戯っぽい笑みを浮かべて呟きながら、顔を威智の股間に寄せて行く。酸っぱい匂いは、悧音にとって不快では無い。
 冴子との経験の際、冴子に求められる形で仕込まれた前戯を、悧音は威智に試すつもりだった。股間を唇と下で責めながら、両手は胸に伸ばし、胸を愛撫し続ける前戯を。
 悧音は陰唇が唇であるかの様に、首を傾げつつ自分の唇を重ねる。両手を威智の、豊かでありながら敏感でもある胸に伸ばし、リズミカルに揉みながら。
(そんな、胸と……あそこを一緒に……されたら!)
 性感が集中している、股間と胸を同時に責められ始め、威智は焦る。冴子との途中までの経験や、悧音による胸への愛撫により、自分の胸の感度が良いだろう事を、威智は自覚し始めているし、クリトリスなどがある股間が、性的な責めに最も弱い箇所であるのは、常識として知っている。
 その胸と股間を、同時に責められたら、どうなるか考えると、威智は焦らずにはいられない。悧音に……子供の頃は苛めていた、馬鹿にしていた相手に、性的な意味で翻弄されるという、情けない目に遭うのは当然、悧音の胸への愛撫とクンニリングスにより、股間が悧音の侵入を許す程に弛んでしまえば、悧音と初体験してしまう……男と初体験するという、悪い冗談の様な状況が、完全に避け難い状況に追い込まれるのだから。
「止めろ! 馬鹿! 変態!」
 嫌悪感と快感が入り混じった感覚を覚え、混乱しつつ、威智は悧音を罵倒する。身体が自由にならないので、せめて自由になる口で、悧音に反撃しようとしたのだ。
 しかし、罵倒の言葉は、それだけ威智が嫌がっている事の証明でもある。故に、罵倒の言葉は悧音のやる気を、殺ぐ事は出来ない。
 悧音は威智が嫌がっている行為を、愉しげに続ける。陰唇と唇を重ねながら、弛みつつある膣口を舐めたり、舌先でクリトリスを探り当て刺激しつつ、両手で乳房を揉み込んだりと、念入りな前戯を、悧音は威智に施す。
 急速に、身体が解され蕩けていき、威智の唇からは罵倒の言葉の合間に、甘く切なげな吐息が、漏れ始める。白かった肌は汗ばんで上気し、ほんのりと薄桃色に色づき、艶っぽく見える。
(ヤバい……キモチイイ……ちょっとだけど)
 現実には「ちょっと」どころではなく、相当に気持ちが良く、嫌悪感や反感より快感が勝り始めている。だが、それを認めるのは、男としてヤバイだろうと、理性が「ちょっとだけど」と、心の中の呟きに付け足したのだ。
 だが、心の中で理性が抵抗しても、既に身体が昂ぶり始めている現実は変わらない。威智の秘裂から潤沢に溢れ出る愛液は、悧音の唇や舌を濡らし、悧音を受け入れられる程度に身体が解れた事を、悧音に伝える。
「そろそろ、大丈夫みたいだな。十分に濡れてきたし……」
 股間から顔を上げた悧音は、そう呟きつつ四つんばいになり、身体を上にずらし始める。すると、まだ毛も殆ど生えていない、子供同然の見た目ではあるが、それなりに硬くなり、膨らんでいる男性器の先端が、威智の内股に触れる。
 男性器の感触が、快感に蕩け始め、鈍っていた威智の理性を活性化する。自分が置かれている危険な状況を理解し、威智は悲鳴に近い声を上げる。
「は、離れろ! そんな気色悪いモン、くっつけるな!」
「気色悪いとか言うなよ、これから威智の中に入るモノなんだから」
 悧音は威智を見下ろしつつ、身体の位置を調整する。そして、右手で自分のモノを握りながら、威智の秘裂の先端に、誘導しようとする。
「入らない! そんなの、入らないってば!」
 威智の叫びに似た声を聞くのは、悧音にとっては喜びであった。無論、多少の罪悪感を覚えない訳では無いのだが、人々にとっての危険を取り除くという目的が、その罪悪感を気にならない程度に、殺いでくれる。
「いい加減諦めなよ。威智の初めての相手が、男の……僕になるって事は、もう変わりようが無い運命なんだし」
「諦められる訳がねぇ……ひっ!」
 抗いの言葉が、驚きの声に変わる。悧音のペニスの先端に、自分の膣口が捉えられた事を、感触で察したが故である。
「じゃあ、貰うよ……威智の処女」
 復讐心が満たされる喜びに、打ち震えながら、悧音は威智の上で囁く。膝立ちの四つん這いの姿勢のまま、ゆっくりと腰を前に突き出し始める。
 先端が、弛んだ威智の膣口を押し広げ、序々に位置の中に侵入していく。
「やだ! やめろってば!」
 子供の様に喚き散らす威智を、子供にしか見えない悧音が、犯し始める。大人二人に押さえつけられた大柄な少女が、小学生の子供にしか見えない少年に、伸し掛かられて犯されるという、傍から見ても異様な状況で、威智は人生で初めてのセックスを経験しようとしていた。
 無論、傍目以上に異常な状況なのは、言うまでも無い。本来は男なのに、女の身体にされた上で、子供の身体のまま歳をとっていない、幼馴染の男相手に初体験しようとしている訳なのだから。

          ☆          ☆

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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」19 TSF属性・アダルト向けライトノベル

 唇を舌で割り、悧音は威智と深く唇を重ねようとする。しかし、威智は顔をしかめつつ歯を食いしばっているので、それ以上の深い接吻は不可能。
 本来なら、前戯としての深いキスを悧音は好むのだが、仕方無しに悧音は唇以外を責める段階に、すぐに移行する事にする。あくまで儀式としての性質がメインであり、楽しむにしても性的な楽しみを得るといより、子供時代に散々な目に遭わされた相手に対する、復讐というか嫌がらせ的な意味での楽しみであるので、自分が好む深いキスを楽しむ必要は無いだろうと、悧音は思ったのだ。
 顔を離し、悧音は威智の顔を見下ろす。目を瞑り、顔を顰めている威智の顔を目にすると、悧音の心の中で、黒い満足感が膨らんでくる。
(本当は、こういう楽しみ方は良くないんだけど、こいつの場合は自業自得なんだから、多少は酷い目に遭わせた方がいいんだ)
 多少は自分の行為に罪悪感を感じている為なのだろう、悧音は心の中で言い訳しつつ、目線を威智の顔から胸に移動させる。仰向けに寝転んでも形が崩れない、張りのある豊かな乳房が、悧音の目線の先で、大きなプティングの様に揺れている。
(――それにしても、見事なまでに女の身体になってるよな。しかも、随分と立派な物まで……)
 悧音は、その立派な物……威智の左の乳房に右手を伸ばし、触れてみる。滲んだ汗に滑る肌に、指先が沈む。心地良い感触と、視覚が伝える乳房の映像、何処か甘酸っぱさが混じる汗の匂いなどが、悧音の脳の奥底……男としての本能を刺激し始める。
 火が灯ったかの様に、身体の奥底が熱く……疼き始めるのを、悧音は自覚する。口に出す事は無いし、本来は認めたくは無い現実なのだが、女性化した威智の姿は、悧音にとって、かなり好ましかったのだ……性的な意味合いにおいて。
 ラヴァーズのアテュで僕となった者が、身体の性別を変える……つまり大きく身体が変容する場合、主となる者の性的な趣向が、色濃く反映される。要するに、威智の現在の見た目が、悧音好みとなっているのは、当たり前といえば当たり前の事なのだが。
(ま、好みの身体にでもなってくれないと、六芒星が消えた時に、抱いて復活させたり出来ないからな。好みの身体になるシステム自体は、有難いと考えるべきか)
 心の中で呟きつつ、悧音は両手を威智の乳房に伸ばし、リズミカルに揉んでみる。揉み応えのある豊かな乳房を、捏ねる様に歪ませる。
「ん……」
 刺激に反応し、威智が苦しげな呻き声を漏らす。だが、苦しさだけでなく、仄かな甘さ……心地良さを感じているニュアンスを、呻き声は帯びている。
(冴子より、敏感なのかも)
 悧音は以前、冴子と身体を重ねた際の経験と、威智の反応を心の中で比べて見る。実は悧音の女性経験は、過去に何度か媚薬を盛られて、強制的にその気にさせられた上での、冴子との経験だけだったりするので、比べる対象は冴子しかいないのだ。
 冴子より小さいが、敏感な反応を返す威智の胸を揉みながら、悧音は唇を胸の谷間に寄せ、谷間を舐める。更に、右乳房を左掌で揉みながら、左の膨らみを舐め上げて行き、膨らみの先端を舌先で刺激してから、口に含む。
「お、男の胸なんか……吸うなよ変態ッ!」
 怒りと嫌悪感、羞恥心に仄かな快感……様々な感情や感覚に心を揺さぶられたせいなのか、震え気味の声で、威智が悧音に抗いの声を上げる。
「仕方が無いだろ、儀式なんだから。それに……」
 唇を乳首から離した悧音は、威智の顔を見上げつつ、続ける。
「――男に胸吸われて、乳首硬くしてるお前の方が、僕より余程変態じゃないか」
「ふざけんな、硬くなんてしてないから!」
 声を荒げて言い返すが、威智の両乳首が、膨らんで硬くなっているのは、誰の目にも明らかである。
「こっちからは見えないんですけどぉ、どんな感じですか、切裂さん?」 
 威智の両足首を押さえている桃生が、両手首を押さえている天魔に、気楽な口調で問いかける。
「感じてるのは間違いないですね、膨らんで硬くなってますから。悧音様は少し胸を責めただけなのに、威智さんは随分と、胸が弱いみたいですよ」
 淡々とした口調で、天魔が桃生の問いに答える。
「何言ってやがんだ! 感じてなんか……ひっ!」
 胸を揉まれて乳首を吸われ、感じている事実の証拠を指摘されても認めず、否定の言葉を口にしている途中、言葉が打ち切られ、威智は身を震わせる。胸からの強い刺激を受け、話している言葉が飛んでしまったのである。
 悧音が胸への愛撫を、再開したのだ。今度は右胸の先端を口に含んで、舌先で転がしつつ、悧音は左胸を右掌でリズミカルに揉み始めている。
 心地よい刺激を、感じているのだろう、歯を食いしばって悧音を睨み付けてはいるのだが、口元から度々、甘い吐息が漏れるのを、威智は止められない。抗いたい心とは裏腹に、確実に性的な快感に身体が解され、昂ぶらされつつあるのだ。
 もっとも、昂ぶり始めたのは威智だけではない。精神的には男だとはいえ、自分好みの身体に変容してしまった威智の肉体を、義務だと心に言い聞かせながらも、貪り始めた悧音も、既に昂ぶり始めていた。
 胸への愛撫を始めた際、刺激され始めた悧音の男としての本能は、刺激に応えて熱くなり始めていた。身体の奥底から、突き上げる様な欲望の高まりが、悧音の股間を熱く……硬くさせる。
 悧音の幼い子供同然の身体は、女の十分に身体を抱ける状態を整えつつあった。成熟度という意味合いでは、まだ大人未満ではあるのだが、瑞々しい色気を感じさせる身体の持ち主となった、威智の身体を……。


          ☆          ☆

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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」18 TSF属性・アダルト向けライトノベル

「な、何する気だよ、お前らッ?」
 上ずった威智の声が、八畳程の広さの洋間に響き渡る。日差しがカーテンに殺がれ、薄暗い仮眠室の中央に設えてあるダブルベッドサイズのベッドの上に、仰向けに寝かされている威智が、悧音や天魔、桃生に対して上げた声である。
「黒羽裏の六芒星を復活させる儀式だよ。何度も同じ事を言わせるな」
 スーツのネクタイを弛めて解きつつ、悧音は威智の問いに、素っ気無く答える。
「何で儀式の為に、俺が……裸で、こんな風にされなきゃならんのだ?」
 恥ずかしさに頬を染めながら、そう抗議する威智が言うところの「こんな風」とは、ベッドの上に大の字を描くかの様に、仰向けの状態で寝転がらされ、両手首を天魔に、両足首を桃生に、それぞれ押さえつけられている状態である。
 先程、仮眠室に運び込まれるなり、天魔と桃生に服を脱がされた威智は、ベッドの上に転がされて、身体の自由を奪われたのだ。
 武術の嗜みがあるらしい天魔と桃生に二人がかりでやられた為、必死の抵抗も空しく、威智は瑞々しい裸身を、悧音達の目線に晒す羽目になってしまった。
「申し訳ありません、儀式は裸になって頂いた方が行い易いですし、儀式を嫌がって威智さんに逃げられると困りますので、身体の自由を奪わせて頂きました」
 威智を見下ろしながら、天魔は頭を下げる。
「だから、その儀式ってのは、どんな儀式なんだよ? 何で裸になった方がやり易いんだよ?」
「――そりゃまぁ、主である悧音様と、性的な関係を持つ儀式ですからぁ、裸になった方が、やり易いんじゃないんですかぁ?」
「せ、性的な関係って……まさか?」
「直接的な表現でいえば、要するにセックスする訳ですよ、威智さんは悧音様と。主とのセックスが、儀式な訳です」
 不安げな口調で問うた威智に、桃生は平然と答えを返す。
「私は経験無いですから、あんまり良く分からないですけど、服を着たままじゃ、やり難そうじゃないですか、あれ」
「俺が悧音と、せ……セックスすんの? 何で? 六芒星っての復活させる儀式だろ? 何でセックスが出て来るのよ?」
 焦りの表情を浮かべ、上ずりまくった声で、威智はまくし立てる。
「しかも、相手が悧音だって? ふざけんなよ! 絶対嫌だぞ、そんなの!」
「消えてしまった黒羽裏の六芒星を復活させるには、体内に大量の悧音様のオルゴンを、注ぎ込む必要があるんですが……その方法というのが、セックス以外に無いんですよ」
 駄々をこねる子供を諭すような口調で、天魔は続ける。
「ですから、威智さんが普通の人間にとって、サッキュバス的な危険性を持つ存在でなくする為には、悧音様とセックスして頂かなければならないんです。本来は男である威智さんにとっては、気が進まない儀式である事は分かっているのですが、ここは堪えて下さい、人々の安全の為に」
「いや、人々の安全とか言われても……」
 悲痛な声を漏らす威智を見下ろしつつ、悧音は嫌な笑みを浮かべ、語りかける。
「さっきも言ったけど、人の事を情けないだのメソリオンだの言ってた癖に、随分と情け無い顔してるじゃないか、威智」
「そんなの……当たり前だろ! 男相手にセックスしろとか言われてるんだぞ!」
「そうしないと、罪の無い普通の人に危険を及ぼす事になるんだから、仕方が無いだろ。諦めろ」
 威智と会話を続けている間、悧音は着衣を脱ぎ捨てている。細身の……胸の成長が遅い少女と見紛う様な裸体を、悧音は晒す。
 多少は恥ずかしいのだろう、仄かに頬を染めながら、悧音はベッドに上る。スプリングが軋み、ベッドが揺れる。
(こ、このままじゃ、悧音に……やられちまうっ!)
 心の中で情けない悲鳴を上げながら、威智は逃れようと身を捩る。しかし、両手両足を押さえつけられている為、威智は逃れようが無い。
「おい、お前はいいのかよ? 幾ら罪の無い人に危険が及ばない様にする為だからって、本当は男の俺とセックスなんて出来るのか?」
 逃れられぬと知った威智は、言葉で悧音を止めようと試みる。
「それに……お前だって、さっきは嫌がってたじゃないか!」
「嫌なのは事実だが、貴様を危険な状態で放置し、人々を危険に晒す訳にはいかないからな。黒羽裏家当主としての義務は、やはり果たさなければならない」
 ベッドの上に膝立ちになって、怯え顔の威智を見下ろしながら、そう言い切った悧音を見詰めて、天魔は満足げに頷く。
「黒羽裏家の当主を務めるに相応しい、見事な御覚悟です、悧音様。成長なされましたね、切裂は嬉しゅう御座います」
「褒めるなよ! てめえのご主人様が、男なのに男とセックスしようとしてるのに、執事が褒めるな……え?」
 天魔を罵倒する威智の言葉が、途切れる。悧音が身体の上に、四つんばいになる形で、被さって来たのに驚いたせいである。
 そして、驚きの余り、威智は思えわず、余計な事を口走ってしまう。
「じょ、冗談じゃない! 女ともした事無いのに、男相手なんて……」
「お前……童貞なのかよ」
 嘲り気味に、そう呟いた悧音の表情を見上げながら、威智は余計な事を口にしてしまったなと、後悔する。
「何だよ、まるで自分は違うみたいな口振りじゃないか、小学生にしか見えない、ガキ同然の身体してる癖に」
「女との経験くらい、あるに決まっているだろ。もうすぐ高二になるんだし」
 平然と悧音に言い切られ、威智はショックを受ける。
(こ、こんな小学生同然の状態の悧音なんぞに、先を越されたのか、俺は!)
 子供時代より、侮っていた相手に、異性関係という意味で先に大人になられてしまった事は、威智には結構、衝撃的な事だったのだ。
「ま、経験が無い子供の威智は、経験がある大人の僕に、全部任せておけばいいよ」
 悧音は威智の耳元に唇を寄せ、囁く。
「ふざけんな! 男とするのなんか、嫌……ん!」
 耳元から唇が移動し、威智の唇を塞いだので、抗議の言葉が途切れる。威智は首を捩り、強引に重ねられた悧音の唇を、振り払う。
(き、気色悪っ! 男相手に、キスしちまった!)
 嫌悪感と動揺を露にし、心の中で呟く威智を見下ろし、悧音は復讐心が満たされる、微妙な満足感を覚える。かって苛められた相手が、露骨に嫌がる行為をする事は、悧音にとって愉しい行為であった。
 本来、悧音は善人であり、他人に嫌がらせなどは行わない。だが、かって散々苦汁を舐めさせられた相手である威智相手だけは、別であった。
 悧音は、威智から危険性を取り除くという、正義の行為としての意味合いだけでなく、自分の復讐心を満たす、心地良い行為として、威智を抱く事にした。無論、元が男である威智を抱く行為に、悧音は嫌悪感を覚えない訳では無い。
 だが、今の威智は、見た目だけなら身体こそ大柄ではあるが、魅力的な少女にしか見えない。それ故、今の悧音には、威智が本来男である事を、余り意識せずにいられる気がしたのだ。
「威智……後で聞かせてくれよ。男なのに、男相手に初体験するのって、どんな気分なのか」
 意地の悪そうな笑みを浮かべながら、威智が頭を動かせない様に、両手で頭を押さえつけると、悧音は再び威智の唇を奪う。威智の柔らかで滑らかな唇に、自分の唇を被せ、舌で威智の唇を割ろうとする。
(な、何で俺が、悧音なんかと……男なんかと、こんな目に……)
 悲鳴や怒鳴り声を上げたい威智なのだが、唇を悧音に塞がれているので、それは不可能。口元からは苦しげな呻き声と唾液の音が、漏れるばかりである。

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「跪いて接吻を強請れ(ひざまずいてくちづけをねだれ)」17 TSF属性・アダルト向けライトノベル

 迷路の様に入り組んだ屋敷の通路を、桃生の後について早足で五分ほど歩き続けた威智は、時代を感じさせる、古びた木製のドアの前に辿り着いた。桃生がドアをノックすると、凛とした高い声が、ノックに応える。
「桃生か? さっさと入れ」
 桃生はドアを開け、室内に入る。桃生に続いて部屋に入った威智は、瀟洒な作りの室内を見回し、古いハリウッド映画とかに出てきそうな感じの部屋だなと思う。
 その部屋の奥にあるマホガニー製の机の向こうには、声の主である部屋……というよりは屋敷の主である、悧音がいた。小学校六年の頃と変わらない顔立ちに体躯ではあるが、目の輝きとダークスーツという服装だけは、以前より大人びた感じの、悧音が。
「遅かったな、桃生」
「申し訳御座いませんっ! 天慶さん……っていうと、お姉さんと間違え易いですから、威智さんって呼んだ方がいいですね。威智さんを襲っていた、淫乱メス豚を仕置きしてきたもので、遅くなっちゃいました!」
 桃生の返事を聞いた悧音は、深い溜息を吐く。
「困ったものですね、松戸先生には」
 主人である悧音の心情を代弁するかの様な言葉を、悧音の傍らに立っている天魔が口にする。
「さっさと儀式を済ませて、六芒星を完全な状態にしておかないと、面倒な羽目になるというのに……」
「六芒星? ああ、あの変態女医が言ってた、黒羽裏の六芒星とかいう印の事か。色が薄くなってた……」
 威智は悧音の話を聞いて、冴子の話を思い出し、シャツの襟首のボタンを外して胸元を開き、黒羽裏の六芒星を確認する。しかし、先程までは薄くなってはいたが、白い肌に描かれていた筈の灰色の六芒星は、跡形も無く消え失せていた。
「あれ? 消えてる……」
「消えてるって……黒羽裏の六芒星がか?」
 威智の呟きを耳にした悧音は、立ち上がり、強い口調で威智を詰問する。
「え? ああ……そうだけど。おかしいな、さっきまであったのに」
「そんな馬鹿な! まだ三十分程は余裕があった筈なのに」
 愕然とする悧音に、天魔が声をかける。
「松戸先生のせいでしょう。過去の記録によれば、印が薄くなっている状態で、魔に関わる者によって性的に昂ぶらせられると、消えるまでの時間が早くなる場合があるそうですから」
「そういえば、そんな風な事も書いてあったな、魔法書には」
 そう呟きながら、悧音は頭を抱え、深く溜息を吐く。
「ま、消えてしまった以上、とりあえず印を復活させないと、被害者が出ますから。悧音様、どうぞ儀式を行って下さい……御役目を御果たし下さい」
 天魔の言葉を聞いて、悧音は苦手なセロリのサラダを食べるように、親に言われた子供の様に、顔を顰めて喚く。
「御役目って……嫌だよ僕は! だって……こいつ男だぞ!」
「今は……女です。身体だけですけど」
 しれっとした口調で、天魔は悧音を窘める。
「――何の話してるんだよ?」
 悧音と天魔が交わしている、自分についての会話の意味が分からないので、威智は悧音に問いかける。そして、その問いに、天魔が答える。
「黒羽裏の六芒星については、松戸先生の方から、多少は聞いているようですが、どの程度の事をご存知ですか?」
 天魔に問われた威智は、松戸に聞いた通りの話をする。黒羽裏の六芒星は主従契約の証であり、印がある間は主である悧音には絶対に逆らえないなどといった内容の話を。
「成る程、まぁ……黒羽裏の六芒星は、その話の通りの物なんですが、ラヴァーズのアテュの場合、色々と特殊な性質がありましてね、他のアテュの僕(しもべ)と違い、何もしなければ次第に薄くなり、十二時間程度で消えてしまうんですよ」
「――つまり、黒羽裏の六芒星とやらが俺に記されて、十二時間くらい経った訳?」
 威智の問いに、天魔は頷く。
「昨晩、主従契約の儀式といえる血契儀式を行ってから、十一時間半ですね。本来なら、あと三十分くらいは消えない筈だったんですが」
「それで、黒羽裏の六芒星が消えると、何かまずい事があんの? さっき、犠牲者がどうとか言ってたけど」
「ええ、黒羽裏の六芒星が消えると、ラヴァーズのアテュの僕は、一種のサッキュバスやインキュバス的な存在になってしまうんですよ」
「サッキュバスやインキュバスって……何?」
「人間の性的なエネルギー……オルゴンを吸い取る、魔物……淫魔の事です。女性の淫魔をサッキュバス、男性の淫魔がインキュバス」
 天魔の説明を聞いて、威智は過去にプレイしたゲームに、そんな感じのセクシーなイメージのキャラクターが出て来たのを思い出す。
「ラヴァーズの僕は普通の人間と性的な関係を持つと、相手のオルゴンを吸い上げて魔力に変換し、自分の魔力としてしまうんですよ。それこそ、関係を持った人間が、衰弱死しかねない程に」
「つまり、俺は……只の人間と性的な関係を持つと、相手を殺しかねない訳?」
 威智の問いに、天魔は頷く。
「でもまぁ、只の人間と性的な関係を持たなければ、衰弱死させるような事は無いんだろ?」
 天魔は威智の問いに首を横に振り、気まずそうに答える。
「それが……黒羽裏の六芒星が消えた状態の、ラヴァーズのアテュの僕には、触れ合った人間を強制的に発情させた上で性交渉を持ち、オルゴンを吸い尽くそうとする性質があるんですよ」
「そいつはまた……嫌な性質だな。あの黒羽裏の六芒星ってのが消えたままだと、俺は人間にとって、結構ヤバイ存在になっちゃう訳なのか」
 威智の呟きに、悧音と天魔が頷いてみせる。
「じゃあ、さっさと黒羽裏の六芒星を復活させる儀式とやらを、やってくれよ。そんな人間を衰弱死させかねない真似するのは、嫌だからさ」
 先程、悧音が天魔に、六芒星を復活させる儀式を行う様に頼んでいた事を思い出した威智は、気楽な口調で悧音に頼む。
「ほら、威智さんも、そう言っている事ですし、悧音様……復活の儀式をお願いします」
 儀式を行う様に、天魔に促された悧音は、気色ばんで声を上げる。
「いや、ちょっと待て! 僕は嫌だぞ! 男相手に、あんな儀式が出来るかっ! 威智だって、どんな儀式だか知らないから、そんな事言ってるだけじゃないか!」
 先程と同様、悧音は六芒星を復活させる儀式を、頑なに拒む。
「それでも、儀式を行って威智さんの六芒星を復活させ、完全な支配下に置いておかなければ、罪の無い人々が犠牲になる可能性が高まります。そういった事態の発生を防ぐのも、黒羽裏の当主としての義務ではありませんか」
「それは……そうだが」
 魔に関わる者が齎す被害から、人々を守る事は、黒羽裏家の重要な義務である。それ故、天魔の言葉に悧音は言い返せず、狼狽気味の情けない表情を浮かべて、言いよどむ。
 そんな悧音を見て、威智は昔……苛められっ子だった頃の、情けない悧音の姿を思い出し、嘲笑する。
「見た目も昔と変わってないけど、情けないのも昔のままだな、悧音」
 悧音を見下ろしつつ、威智は嘲るような口調で続ける。
「やらなきゃならない事なんだったら、さっさとやれってんだよ、メソリオン!」
「だ、誰がメソリオンだっ!」
 メソリオンと呼ばれ、悧音の表情が変わる。怒ったのだろう、情けない顔つきが引き締まり、悧音は大きな瞳を細め、威智を睨み付ける。
「何ですか、そのメソリオンとかいう、売れないシューティングゲームのタイトル風の言葉は?」
 意味の分からない言葉の意味を、桃生が威智に問いかける。
「ちょっとイタズラされた程度で、すぐにメソメソ泣き出す情けない奴だったから、悧音は小学生の頃、メソリオンと呼ばれてたんだ」
「ちょっとしたイタズラだと? 体操帽の中に接着剤を流し込まれてたせいで、髪の毛に体操帽をくっつけられたり、先生に提出するノートの間に無修正のエロ本の切れ端を挟まれたり、プールで水着を脱がされて、排水溝に詰められたり……お前がやったイタズラは、ちょっとしたイタズラの域を超えてるわっ!」
 語気を荒げ、悧音は続ける。
「思い出しただけでも、腹が立つ! 全く、お前に僕が、どれだけ嫌な目に遭わされたか……」
 突如、悧音は黙り、何かを思いついたかの様に、少しだけ考え込む。
「嫌な目か……そうだな。お前に多少でも嫌な思いをさせられる……仕返しが出来ると考えれば、儀式を行うのも悪くは無いか」
 そう呟くと、悧音は口元を歪め、嫌な笑みを浮かべる。
「分かった、これから威智の黒羽裏の六芒星を、復活させる儀式を行う。仮眠室のベッドは、使えるんだろうな?」
 悧音の言葉を聞いて、天魔は安堵の表情を浮かべつつ、頷く。
「ベッドって……儀式ってベッドでやるのか? それ、どんな儀式なんだ?」
 何となくではあるが、悧音の表情や言葉から、悪い予感のようなものを感じ取った威智は、悧音に尋ねてみる。
「何だよ、人の事を情けないだの何だの言っておきながら、まさか儀式をやるのが怖くなったのか?」
 嘲る様な口調で、悧音は威智に問いかける。
「いや、別に怖くなんてないけどさ、考えてみたら、どんな儀式だか聞いてなかった訳だし……」
「お前が自分で、僕にやれって言ったんだから、それがどんな儀式だろうが、今更嫌だとか言うのは無しだ。いいか、お前がやれと言ったんだぞ」
 悧音は念を押す様に、威智自身が儀式を求めた事実を繰り返す。
「それは、そうだけど……」
 自分が悧音に儀式を行うよう求めたのは、事実である為、威智は悧音に反論出来ず、言いよどむしかない。
「だったら、すぐに儀式を始める。切裂、威智を仮眠室のベッドまで運べ」
 主人である悧音の命令に従い、天魔は威智を抱き抱える。天魔の行動は素早く隙が無く、威智は抗えずに、いわゆるお姫様抱っこ風に、天魔に抱き抱えられたまま、隣接する仮眠室に通じるドアに向かって、運ばれる。
「おい、自分で歩いて行けるから、下ろせよ!」
 抱き抱えられるのが恥ずかしかった威智は、悧音と天魔に抗議する。
「下ろすなよ、切裂。威智は怖がってるみたいだからな、今更逃げられても困る。ちゃんと逃げられない様に、抱き抱えて連れて行け」
「申し訳ありません、主の命令ですので」
 軽く頭を下げ、丁寧な言葉で謝罪するが、天魔は威智を下ろさず、しっかりと逃げないように抱き抱えたまま、ドアに向かって歩き続ける。
(どんな儀式だか知らないで、儀式をやれとけしかけたのは、まずかったのかも……)
 心の中で後悔の言葉を呟きながら、威智は天魔に抱き抱えられたまま、運ばれて行く。儀式が行われる場として選ばれた、仮眠室に……。

          ☆          ☆

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 TSF要素皆無の、母乳&姉属性のアダルト向けノベル「ミルク色の夏休み」、DLsiteで発売中!
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