コドモは読んじゃダメ!
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《宣伝》少年少女ミケ(少女の銀輪)6
「晩御飯、好きな物奢ってあげるから、許してよ……」
 ベッドの上で、うずくまっている魅恵の、髪の毛を弄りながら、隣に寝転がっている晶は、甘えるように許しを請っていた。
「俺の処女膜の価値って、晩御飯と同じなのか……」
 まだ、破瓜の痛みが後を引いているせいで、魅恵の気分と機嫌は、最悪だった。
「謝ってるんだから、ひねくれるの止めてよ」
「――だって、今度は俺が男になってする筈だったのに、晶姉ばっか好き勝手にやるんだもん、ズルイよ」
 拗ねた子供の様に、魅恵は頬を膨らませる。
「それは、ほら……バイト終わるまで、ミケちゃんは男に戻れないから、それまではミケちゃんが女の子のままでするのは、仕方ないじゃない」
 優しく頬を撫でながら、晶は魅恵をなだめる。
「――バイトが終わって、俺が男に戻ってから暫くは、男のままするからね。晶姉が女の子の俺を抱いたのと同じ回数、俺が男の身体になって、晶姉を抱くんだから!」
「分かったよ。ちゃんと、あたしが抱いた数、覚えておいてね」
「――とりあえず、今は二回」
「はいはい。じゃ、御飯食べに行こうよ。奢ってあげるから」
 魅恵は頷き、起き上がる。股間の痛みのせいで、かなり動きがぎこちない。
「痛いの?」
「――痛い。これって、後引くの?」
「大丈夫。明日になれば、痛く無くなってるから」
「晶姉も、そうだった?」
「次の日には、残らなかったよ。高一の頃の彼女に、指でされた時だから、ミケちゃんと同じだね」
(四年前か……)
 服を着ながらの、晶の答えを聞いて、魅恵は四年前の晶を思い出してみる。四年前……魅恵が小学六年生だった頃、葛城家の近くで晶と一緒にいるのを見かけた、長い黒髪が印象的な、魅力的な少女の姿が、魅恵の心の中に蘇る。
「ひょっとして、その高一の頃の彼女って、長い黒髪の子?」
 魅恵に問われた晶は、意外そうな顔で頷く。
「家に遊びに来た時とかに、ミケちゃんに見られた事とか、あったな……そういえば」
(手を繋いでたりして、仲が良い友達なんだなって、あの頃は思ってたんだけど……彼女だったんだ、あの子)
 微妙に複雑な気分に、魅恵は陥る。恋人の過去の恋愛や性体験の相手に関する事など、知って良い気分がするタイプの人間では、魅恵は無かった。
(まぁ、でも……相手が男じゃないだけマシか。一応、一般的な意味合いでなら、晶姉って処女な訳だし)
 そう自分に言い聞かせた魅恵は、一応……念の為に、晶に確認してみる。気まずそうに、目線を不自然に逸らしながら。
「晶姉って、その……男相手の経験が無いって意味の処女だと、処女……なんだよね?」
 魅恵の問いに、晶は頷く。
「あの子にされたせいで、処女膜は無いんだけど、男相手の経験が無いって意味なら、処女だよ」
 過去の交際相手とのセックスで、相手の指や疑似ペニスにより、晶は幾度と無く膣を貫かれている。だが、男相手のセックスの経験が無いという意味では、晶は確かに処女である。
「じゃあ、俺が男に戻ったら、晶姉の本当の意味での処女、俺が貰うからね、絶対に……約束だよ!」
「約束するよ、あたしの本当の意味での処女、ミケちゃんが男に戻り次第、あげるって」
 晶の言葉を聞いて、魅恵は嬉しそうに微笑む。
「やっぱり、ミケちゃんも処女の方がいいの?」
 微笑んだ魅恵を見て、そう思ったのだろう。晶は魅恵に尋ねる。
「それは……まぁ、正直言えば、嬉しいけど。でも、本当に晶姉って、男相手の経験無いの?」
「無いよ。男とはセックスどころか、キスも経験無いし……」
「――俺、男だけど……」
「あ、ご免。ミケちゃん以外とは経験無いに、訂正!」
 そう言うと、晶は笑い出した。気まずさを誤魔化す様に、魅恵を抱き締めながら。
 自分が晶に男として認識されていない様な気がして、魅恵は少しだけ、嫌な気分になった。

 翌朝、痛みは完全に消えていた。痛みが残っていたら、バイトに支障をきたすかもしれないと、心配していたので、魅恵は安堵する。
 朝食を終えてシャワーを浴び、バイトに行く準備を整えていた、午前八時五十分頃、魅恵は晶からの電話を受けた。魅恵の痛みが引いたかどうか、心配しての電話である。
 大丈夫だと魅恵が言うと、晶も安心したようだった。晶が心配してくれていた事が、素直に嬉しかったのだが、バイトに行く時間が来たので、他の話題には移らず、魅恵は電話を切った。

 午前九時十分、魅恵は破魔崎駅のホームにいた。坂崎駅までは坂崎線で二十分、ハーベストまでは、駅から五分もかからないので、時間的には余裕である。初日なので、念の為に、少し早めに家を出たのだ。
 服装は、ジーンズにダンガリーシャツ、スニーカーという、殆ど普段通りの格好である。ブラウスやパンプスなどは、背負ったリュック型のバッグの中に、入っているのだ。
 元々、目立つ顔立ちをしている上に、周りは、スーツ姿のサラリーマンが殆どなので、カジュアルな格好の魅恵は、異常に目立つ。不思議と、周りに女性の姿は無い。
 電車がホームに停車したので、魅恵は乗車する。通勤ラッシュの時間は、過ぎているのだが、車内は割と混んでいた。魅恵はドアの端をキープし、取っ手に掴まった。
 そのまま、自動ドアが閉まり、電車は走り出した。魅恵は、窓の外の景色を眺め、時間を潰す事にした。

 次の駅で、客が大量に乗り込んで来て、電車の中は、一気に満員になった。魅恵はドアに身体を押し付けられ、身動きが取れなくなる。
 坂崎駅は終点なので、身動きが取れなくても、降り損う事は無いのだが、魅恵が押し付けられている方のドアは、終点まで開かない。終点まで、この苦しい状態が続くのかと思うと、魅恵は憂鬱になる。
 魅恵の身動きが取れなくなって、二分程が過ぎた頃、魅恵を、更に憂鬱にさせる事態が起った。魅恵の尻を、誰かが撫で回し始めたのだ。
(ち……痴漢!)
 尻を撫で回す誰かの手を掴み、警察に突き出すか、自力でぶっ飛ばすかしようと、決意を固める直前、魅恵の頭の中に、妖シ屋の女主人の言葉が蘇って来る。
「三つ目は……女になってる時は、警察沙汰になるような真似をしない事。警察が動いて、うちの店が調べられるようになったら、困るから」
(そうだ、痴漢を警察に突き出しても、ぶっ飛ばしても、警察沙汰になっちゃう……)
 女の身体になっている時は、警察沙汰になる様な真似は、避けなければならない事を、魅恵は思い出したのだ。
(それに、考えてみれば、警察に訴えたり、被害届を出したりしようにも、身体の性別が変わってしまってる今の俺には、無理かもしれない……。下手したら俺の方が、警察に怪しまれる事になるかもしれないな)
 そんな不安が頭を過り、魅恵は警察沙汰になる程の騒ぎを避ける為、自分の尻を撫でていた誰かの手を払い除け、自分の身体から離しただけで、大きな騒ぎになるような真似は、しない事にした。
(これで、痴漢が収まればいいんだけど……)
 そんな魅恵の期待は、裏切られた。痴漢は魅恵の事を、手をどけるだけで、触っても騒ぎ立てない女の子だと、認識したようなのだ。
 再び尻を触り始めた手を、魅恵は迷わず、手で払い除ける。その後、尻に伸びて来た誰かの手を、魅恵が払い除けるという流れは、三回繰り返されて終わる。
 終わったのは、痴漢が触るのを、諦めたからでは無い。魅恵の身体を触りに来る手が、突然、四本に増えたからである。
 痴漢の手を払い除けていた魅恵の両手は、後ろに回したまま、痴漢の二本の手で、がっしりと掴まれた。魅恵は身体を電車のドアに押し付けられたまま、両手を後ろ手で拘束されてしまったのだ。
 身動きも取れず、手も自由に動かせなくなった魅恵の身体を、魅恵の手を拘束していない二本の手が、這い回り始めた。痴漢は二人いて、各々が片手で魅恵の手を掴み、もう片方の手で、魅恵の身体を撫で回している。
 魅恵は元々、女の子みたいな外見をしている為、男の身体の時も、結構痴漢にあっていた。そういった場合、即座に痴漢を警察に突き出すか、駅のホームで半殺しの目に遭わせるかの二択だったので、軽く触られる以上の被害に、魅恵は遭った事が無かったのだ。
(俺、このまま、男に痴漢され続けるの?)
 魅恵の全身に、悪寒が走った。
(冗談じゃ無い! 逃げないと……)
 ハリウッド映画で、警官に手錠をかけられる直前の犯人のように、背中で両腕を固められた魅恵は、身体をよじって痴漢から逃れようとする。しかし、二人の痴漢に後ろから、身体を使って押さえ込まれ、電車のドアに身体を押し付けられているので、魅恵は身動きが出来ない。
 丁度、二人は魅恵を囲む位置にいるので、電車の他の客からは、魅恵の姿は、見えなくなっている。魅恵が抵抗出来ず、周りからも行為が見えなくなっている事を確信した痴漢達は、遠慮無く魅恵の身体を、触っている。
 右後ろにいる男が、魅恵の下半身を触り、左後ろにいる男が、魅恵が身をよじった際、ドアと魅恵の間に出来た隙間から手を差し入れ、左胸を触っている。
 最初は、尻を撫で回し、割れ目に指を這わせていた手が、次第に下に下がり、太股の間に、指を滑り込ませようとする。魅恵は足を閉じて、侵入させまいとするが、弾力のある太股の肉は、滑り込んで来る指を、迎え入れてしまう。男は手に力を入れ、魅恵の股を割って、手を完全に、魅恵の股間に差し入れる事に、成功する。
 少しの間、太股をさすっていた手は、股間に狙いを変え、デニムの生地と下着越しに、魅恵の陰部の下の辺りを、撫で始める。
 無論、その間にも、左胸は揉まれ続けている。揉みながら、シャツの生地越しに、乳首を探り当て、指で摘んで刺激を加える。
(き、気色悪ぅ……)
 魅恵は、下半身と胸に加えられる刺激が気持ち悪くて、吐きそうになる。男に触られるだけでも気持ち悪いが、見知らぬ他人に触られるのだから、気持ち悪い上に不安でもあるのだ。
 再度、身体に力を入れ、逃れようとしてみるが、身体も腕も、男達に押さえ付けられているので、魅恵は逃れられない。それどころか、逃げようと身体を捻ったせいで、ドアとの間に隙間が出来てしまい、左胸を触っていた、左後ろの痴漢の左手が、自由に移動出来るようになってしまった。
 魅恵は身体をドアに押し付け、隙間を無くそうとするが、腕を後ろに引っ張られてしまい、隙間を無くす事が出来ない。左後ろの痴漢は隙間を利用して、より大胆に、魅恵の身体を触り始めた。
 まず、ダンガリーシャツのボタンを外して、手をシャツの中に、忍び込ませる。そのまま、スポーツタイプのブラの上から、痴漢は左胸を揉み始める。
 比較的生地の厚い、ダンガリーシャツの上から触られた時よりも、愛撫の感覚が、はっきりと魅恵に伝わって来る。不快さと、それ以外の微妙な感覚が混ざり合った、感覚が。
 そのまま十回程、左胸を揉み続けた後、痴漢はブラの下の方を掴み、たくし上げる。ブラは魅恵の両胸の上に、乗る様な形になる。
 痴漢の手が、左胸を直に触り始める。少し硬めだが、程良い大きさの魅恵の乳房を揉んだり、乳首を指で挟んだり、細かく振動させて刺激したりと、好きな様に弄び始める。
 直に触られたせいで、愛撫の刺激は魅恵の脳に、より明確に伝わり始めた為、魅恵の本能は、意志とは逆の生理的な反応を、身体に返す。乳首が起ち、硬くなっていくのが、魅恵自身にも分かる。
(何で……起っちゃうんだよ?)
 魅恵は自分の身体の反応が、恨めしかった。男の身体の時にも、別にエッチな事を考えている訳でも無いのに、無意味に股間が起ってしまう事があった。女の身体も、意志とは無関係に、反応してしまうものなのかなと、魅恵は思う。
 右後ろの痴漢も、魅恵とドアの間に、隙間が出来た事に気付いたのか、太股の間から手を引き抜き、魅恵の左側から、前に手を回して、魅恵の股間を触り始める。
 太股の間から、手を差し込んでいた時は、陰部の下の辺りまでしか、手が届かなかったようなのだが、今は手が届くので、露骨に魅恵の陰部の上を、触っている。
 数秒間、デニムの生地越しに陰部を触っていた痴漢は、ジーンズのファスナーを降ろし始めた。
(そ、それだけは、嫌!)
 見知らぬ他人の男に、陰部を触られる事の嫌悪感は、魅恵の耐えられる限界を超えていた。堪え切れずに、魅恵は声を上げそうになってしまい、大きく息を吸い込む。
「間もなく〜終点の〜坂崎〜坂崎〜!」
 突如、電車が終点の坂崎駅に辿り着く事を、社内アナウンスが伝えた。魅恵の後ろの痴漢達が、軽く舌打ちをして、手を引っ込める。
 魅恵は、痴漢達の手が自分から離れた事に、安堵した。自分が声を上げずに済み、警察沙汰を避けられた事にも。
 魅恵は、やっと自由になった両手で、数センチ下げられたファスナーを上げ、ブラとシャツのボタンを、元に戻した。程なく、電車は坂崎駅のホームに滑り込み、魅恵の前のドアが、勢い良く開いた。
 背後からの強烈な圧力で、魅恵は電車の中から押し出された。ホームに出た魅恵は、即座に後ろを振り向き、痴漢の姿を確認しようとしたが、そこには多数のサラリーマン風の男達がいて、誰が痴漢だったのか、全く分からなかった。
「死ねよ、変態!」
 魅恵は、吐き捨てる様に、呟いた。自分が少し汚れた様な、嫌な気分に、魅恵は苛まれる。
「まぁ、晶は気にしないんだろうけど……」
 自分の彼女を、他人に抱かせて楽しむ様な晶の場合、魅恵が痴漢に遭っても、全く気にしないだろう。それどころか、下手すれば喜ぶかもしれないのだ。
 もっとも、彼女の晶が平気でも、魅恵が平気な訳では無い。朝っぱらから痴漢に襲われ、魅恵は最低の気分になってしまっていた。
 そんな魅恵の周囲に、突如、いい匂いが漂って来る。女性が身に纏う匂い……香水の匂いである。
 最初は、いい匂いかなと思ったが、香水の匂いが数種類混じり始めたので、すぐにいい匂いというより、単なる強烈な匂いになってしまった。何だろうと思い、後ろを振り向いた魅恵は、沢山のOL風の女性や、カジュアルな服装の女の子が、歩いている光景を目にする。
「あれ? 女の人……」
 そこで初めて、坂崎線には女性専用車両が三両も用意されていた事を、魅恵は思い出した。ラッシュ時でも、余裕を持って、女性を収容出来るので、殆んどの女性客は、女性専用車両に乗るのが、当たり前だったのである。
「そうだ……俺、女性専用車両に乗れば良かったんだ!」
 身体が女性化しているとはいえ、魅恵の中身は男性なのだ。それ故、女性専用車両に乗ろうという考えが思い浮かばず、魅恵は普通車両に乗り込んでしまった。
「次からは、女性専用車両に乗ろう。そうすれば、痴漢なんかに、遭わずに済むし」
 ほっとしたように呟きつつ、魅恵は改札の方に向かって、歩き出した。もっとも、女性専用車両に乗れば、痴漢に遭わないという考えが、甘かったという事に、魅恵は後で気付くのだが……。


          ☆          ☆


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